みずたまのチワワ/井上荒野・作 田中清代・絵/福音館書店/2023年(初出1997年)
ある朝、アームーという女の子が、水玉模様のチワワ(子犬)を見つけました。
いそいで縁側に出てみると、しろいシーツに 水玉模様がうつっていました。
花壇に行ってみると、水玉模様のチューリップが咲いていて、じょうろで水をかけると、テントウムシが 一斉に とびたちます。
テントウムシを追いかけていくと、また水玉のチワワ。
つつじの垣根をのりこえたチワワをおいかけていくと、そこは水玉の町。道路、川、木、空、家の屋根も塀も水玉模様。チワワが、ふりむいて「くすっ」とわらったので、アームーはこわくなって、いちもくさんに、家にとびこみました。
お母さんから言われ、鏡を見ると、アームーの顔も 水玉。どろんこが 顔いっぱい はねかえっていたのです。
町の中が、全部水玉模様の光景で、不思議な町です。チワワが水玉に変えたのでしょうか? それともたんに幻想だったのでしょうか?
町には高い建物がなく、木造家屋がつらなっています。チワワは、どこからきて、どこへ去っていったのか?。疑問符がいっぱいでした。