つきよのくろてん/手島圭三郎/絵本塾出版/2015年
冬の終わりの満月の夜、森で繰り広げられるクロテンと、ウサギ、モモンガ、シマフクロウなどの狩りの情景が、静かに展開します。
狩りをするものが、狩りの対象になる生存競争のなかで、いかに獲物をとらえるか、そして狩りから逃げ延びるか、緊張感が漂います。
版画であらわされた鳥、木の樹皮や枝、雪の下の影などのギザギザ感。夜行性のクロテンがモモンガに飛びかかる場面や、羽を大きく広げたシマフクロウがクロテンに襲い掛かる場面は圧倒的です。
クロテンの逃げ足は早い。雪の穴に逃げ込み、がれきの向こうから顔を出し、シマフクロウを翻弄する場面はユーモアも。雪が解けたら、逃げのびられるのか?。
”クロテン”は、イタチ科テン属に属し、猫ほどの大きさ。漢字だと黒貂。文字だけだとわかりにくいのですが、絵本だと明瞭です。