まほうのレンズ/リチャード・ヒューズ・作 矢川澄子・訳/岩波少年文庫/1995年
あっと驚くというか、奇想天外というべきか。作者自身が楽しんでいるようにもみえます。生きた聞き手を目の前にして、子どの反応をたしかめながら語ったとあります。
・表題になっている「まほうのレンズ」
人形をレンズで見ると、それが本物に、もういちど見ると人形に逆戻り。
両親を人形にして、針でつっついてみたり、先生を人形にしたり大騒ぎ。ネズミがレンズをのぞいたことから大変なことに。
やりたい放題がうけるのかも。
・でんわからでてきた子
かかってきた電話にでると、電話線を通って相手の家に。親に甘えることもできない五つの女の子が、こんな家はごめんと、間違い電話をかけてきた人のうちに。
自宅の電話番号がわかればもどることもできますが、わからないことから、そのまま、その家に居座ることに。
この家でやりたい放題の女の子。
携帯電話が普及して、電話線が遺物になったら無線をつたわって相手の家にいくことになるのかも。
・学校
学校がない校長と先生の話。
自宅でのはじめの生徒は、なんとおもちゃ。
次は汽車に忘れられたクロネコ。
もちろん授業はなりたちません。おもちゃやネコを相手というのは!
次は学校に行く道をわすれた女の子。家に帰るのが面倒だからと、寄宿舎がわりに、学校に泊まり込んで・・・。
諷刺でもないし、校長と先生を揶揄しているのでもなく・・・。
・ジャングル学校
ジャングルにすむ動物たちが学校をひらくことに。
はじめは、先生えらび。
ゾウのお嬢さんは、長い鼻でひっぱたたくようで敬遠。
サルは盗み上手にしてあげるというので、みんなびっくり。
余分なことをいわないワニを先生にすることに。
次は、学校の場所。
喧々諤々。結局はワニのいうとおり、沼のまんなかに。
子どもたちは泳ぎながらら、ワニのところへ。
授業はつまらなく、やがてお昼。子どもたちは家に帰りたいのですが、ワニ先生は、あたしのごはんになってもらうといって、まずは くまの子を、ごくり。
親は上へ下への大騒ぎ。でも沼をわたっていけるような身軽なものは、ひとりもいません。
サルは、うまい知恵をさずけてくれそうな人をさがすに、古い昔のお城へ。ここには、クモの糸をつむいでいるおじいさんが・・・。
この話は、結構オーソドックス。救い主があらわれます。
このおじいさんが先生になって、動物は知恵がつき、かしこい子にそだちます。
作者はイギリスの代表的作家といいます。