どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

ねずみのくれたふくべっこ

2018年04月13日 | 絵本(昔話・日本)


    ねずみのくれたふくべっこ/文・松谷 みよ子 絵・丸木 俊/童心社/2000年


 毎朝、ご先祖様にあげた水をのんでしまうねずみ。

 ばさはおこって、熱い湯をご先祖様にあげると、ねずみは あれっという顔で、回れ右してかえっていきます。
 ところが、ばさまが川に洗たくにいったあと、じさがひょいとみると、いつのまにか、としよりのよぼよぼねずみが、温泉がわり。
 じさまはねずみをおいだすわけでもなく、ずっとみていた。

 山へ柴刈りに行くと、どこからかよぶもんがあって、足元のねずみが「うちのじさを ゆっくりと おゆにいれてくれて ありがとうごあんした。おかげで こしもしゃんとしたし、あしのいたみもハア、ぺろっととれたし。おれいに このふくべっこあげるす。山で おそくなったとき、このふくべっこ ころっと、ころばして、なかへ はいってみれ」はいってみれといいいます。

 ある日、ひがくれたぞと、ふくべっこをころばして、なかをのぞくと・・・

 ふくべっこは瓢箪のこと。絵本ではすぐにわかりますが、はじめて聞いたら、なんのこととなりそうです。

 ふくべっこのなかでは、ねずみがお囃子してにぎやか。じさまは、飲んだり、食べたり、足・肩をもんでもらったりと、いい気分。
 毎日、いい気分でかえってくるじさま。

 「じさ、なにしてるんだべ」と、ばさまは面白くない。

 ある日、ばさまが南蛮みそを、こしらえ、どこにいれようかと、あたりをさがしていると、例のふくべっこを見つけて・・・・。

こうした展開だと、ばさまが、意地悪いようにみえますが、結末は、ちょっとびっくりです。

 じさまが、味噌が詰まったふくべっこを、川の水で洗い流すと、ふくべっこのなかでは、山崩れと大水がおきて、みんな流されてしまいます。

 不思議な話で、ねずみの恩返しが、自分たちも滅ぼしてしまうという悲しい結末です。

 ばさまには悪意があるわけではありません。じさまが一人だけ楽しむことへの皮肉でもなさそうです。


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