ねずみのくれたふくべっこ/文・松谷 みよ子 絵・丸木 俊/童心社/2000年
毎朝、ご先祖様にあげた水をのんでしまうねずみ。
ばさはおこって、熱い湯をご先祖様にあげると、ねずみは あれっという顔で、回れ右してかえっていきます。
ところが、ばさまが川に洗たくにいったあと、じさがひょいとみると、いつのまにか、としよりのよぼよぼねずみが、温泉がわり。
じさまはねずみをおいだすわけでもなく、ずっとみていた。
山へ柴刈りに行くと、どこからかよぶもんがあって、足元のねずみが「うちのじさを ゆっくりと おゆにいれてくれて ありがとうごあんした。おかげで こしもしゃんとしたし、あしのいたみもハア、ぺろっととれたし。おれいに このふくべっこあげるす。山で おそくなったとき、このふくべっこ ころっと、ころばして、なかへ はいってみれ」はいってみれといいいます。
ある日、ひがくれたぞと、ふくべっこをころばして、なかをのぞくと・・・
ふくべっこは瓢箪のこと。絵本ではすぐにわかりますが、はじめて聞いたら、なんのこととなりそうです。
ふくべっこのなかでは、ねずみがお囃子してにぎやか。じさまは、飲んだり、食べたり、足・肩をもんでもらったりと、いい気分。
毎日、いい気分でかえってくるじさま。
「じさ、なにしてるんだべ」と、ばさまは面白くない。
ある日、ばさまが南蛮みそを、こしらえ、どこにいれようかと、あたりをさがしていると、例のふくべっこを見つけて・・・・。
こうした展開だと、ばさまが、意地悪いようにみえますが、結末は、ちょっとびっくりです。
じさまが、味噌が詰まったふくべっこを、川の水で洗い流すと、ふくべっこのなかでは、山崩れと大水がおきて、みんな流されてしまいます。
不思議な話で、ねずみの恩返しが、自分たちも滅ぼしてしまうという悲しい結末です。
ばさまには悪意があるわけではありません。じさまが一人だけ楽しむことへの皮肉でもなさそうです。
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