どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

はなさかじい

2020年02月12日 | 絵本(昔話・日本)

     てのひらむかしばなし はなさかじい/長谷川摂子・文 伊藤秀男・絵/岩波書店/2008年

 日本の昔話といえば「はなさかじい」は、かかせません。長谷川さんの昔話方言と擬音語のリズムにあっという間に、ひきこまれました。

 じいさまが、山で狩りをする場面、イヌのシロのほえる声

 「ひがしの いのしし こっちゃこー、にしの うさぎも こっちゃこー、ワンワン」

 臼から、小判が出るさま

 「大判 小判が チャラリン パラリン」

 しものじいさまが 臼をひく場面

 「うまの くそが モッコン モッコン」

 かみの じさまが 灰をまく場面

 「こがね サラサラ ホホラホーッ」

 じさまが 灰で花を咲かせる前段階では、じさまの ブスーッ という へで 灰がとんで冬枯れの木に かかったとおもったら えだという えだに、ぱっぱ ぱっぱと 桜の花が咲きます。

 じさま、川で魚をとったり、山で猟をしたりと、漁師と猟師を兼ねていたんですね。

 「かわに どっこを しかけると まいにち さかなが びんご びんご」というのはどっこに 魚がはいるようすですが、”どっこ”が、なにかわからなくても 気にすることがないのは、ここちよいリズムが続くからでしょう。

 桜がさくようすも綺麗です。

 

     はなさかじい/よしざわかずお・文 さくらいまこと・絵/ポプラ社/1967年

 「はなさかじい」は絵本だけでも30冊はこえています。長谷川さんとの比較でみてみました。

 吉沢文では、いぬとじいさま、ばあさまがであって、子どもになるところからはじまります。山で見つけるのは大判、小判としています。オーソドックスな展開です。

 松の木が一晩で大きくなるのが長谷川文ですが、吉沢文では、じいさまばあさまが松の木をうえ、水を一ぱいやると、すっとのび、また一ぱいやると、すっとのびていきます。

 吉沢文では、臼をつくるきっかけが鳥の声で、隣のじじばばが、さらっとしています。

 さらに、文章が長めなのが特徴でしょうか。

 擬音語がリズミカルなのは共通しています。

 灰をまく場面は、「ちんぱらりん ごようのまつ、ひとふり ふれば はなつぼむ、ふたふり ふれば はながさく」です。

 作者は方言を基礎とした再話用の用語を使いこなす自信がなかったので共通語を用いたとしています。

 

・花咲かじい(子どもに語る日本の昔話②/稲田和子・筒井悦子/こぐま社/1995年)

 山形の昔話。

 ばばが川へ洗濯にいって流れてきた赤い小箱をあけると、かわいい犬の子がはいっていたのが導入部。

 犬ころは じじとばばのふたりをのせて山にでかけます。隣のじいさまが山でみつけるのが馬のふん、牛のふん。臼から出てくるのも馬、牛のふんです。

 花を咲くようすは、チチンポン、パラリン、パラリン。

 隣のじいさまは、殿さまのお城まで出かけて、灰をまきます。

 

・花咲爺(日本昔話百選改訂新版/稲田浩二・稲田和子:編・著/三省堂/2003年)

 岐阜県の昔話。

 ばあさが川に流れてきた柿をもちかえると、なかから子犬がでてきます。

 隣のじいさまが、宝物のかわりに、山でほりあてたのは、臭い水だけ。臼をつくと 臭いとも何ともしょうがないもの。最後は花を咲かせられず、殿さまに牢屋にいれられてしまいます。

 

・花さかじい(大分のむかし話/大分県小学校教育研究会国語部会編/日本標準/1975年)

 大分の昔話。

 正直なじいさんとばあさんが、臼で、お米をつくと 一升が二升、二升が三升と、お米が増える。

 一方、よくばりばあさんが、臼をつくと、一升つきおったら五合になり、五合が二合半と半分になってしまう。

 よくばりじいさん、ばあさんが 臼をつくと、ガラクタがでてくるのが定番ですが、それではかわいそうに思ったのかどうか。話者のかたの年齢が92歳と紹介されていますが、このかたが聞かれた話では、どんなふうになっていたのでしょうか。 


かぜのおまつり

2020年02月11日 | 絵本(日本)

       かぜのおまつり/いぬい とみこ・作 梶山俊夫・絵/福音館書店/1972年初出1977年

 

 ふうこは、毎朝、町の保育園にいって、おひるすぎ たった一人で バスの停留所から遠い家までかえってきます。

 帰り道、あけびをみつけて実をとろうとすると、「どうか ふうこちゃん とらないで。こがらしこぞうの ひゅうすけが、かぜの まつりにくるまでは」といわれ、「ふうん。それなら とらないわ。こがらしこぞうの ひゅうすけと、ともだちになりたいもの」と、とおりすぎます。

 きのこをみつけ、とろうとすると「どうか ふうこちゃん とらないで。きたかぜこぞうの さぶろうが、かぜの まつりにくるまでは」といわれ、「ふうん。それなら とらないわ。きたかぜこぞうの さぶろうと ともだちになりたいもの」と、ここもとおりすぎます。

 次にやまぶどうにも おなじことをいわれますが、のどがかわいていたので、ひとふさ たべてしまいます。

 その時、クマも食べないでといわれますが、 あけびやきのこを むしゃむしゃたべます。

 そのうち、山道がしろい霧でつつまれ、雷も遠くでなりだしました。

 ふうこが、道が見えなくなって助けをよぶと、こがらしこぞうときたかぜこぞうが、霧をふきとばし、山からやってきました。

 今年最後のかぜまつりがはじまりました。

 秋から冬の到来をつげる北風や木枯らしの様子が、擬人化された風と共に詩情豊につたわってきます。

 ひと昔前は山奥にも生活の営みがあって、あけびやきのこ、やまぶどうなど、山の幸がいっぱいでした。

 かぜまつりは、あけびのつるや やまぶどうの実をころがして、次の年への準備をする大事な営みのことでした。

 北風や木枯らしと ともだちになりたいというふうこ。クマにであったふうこに、あなごもりするクマは、いっぱい食べなければ ならないんだよというおばあちゃん。自然をまるごとうけとめているようです。

 初出が1972年と懐かしい感じの絵です。風が木の葉を散らす様子が何ページにもわたっていて、躍動感いっぱいです。


いそがしいよる

2020年02月10日 | 絵本(日本)

    いそがしいよる/さとうわきこ/福音館書店/1981年初出1987年

 

 ばばばあちゃん、お星さまがきれいで、家にいるのは惜しい夜だと ゆりいすを外にもちだしました。

 おつきさまも むっくり むっくり でてきて、素晴らしい夜で、ねむりながら一晩中そらをみているのもいいかなと、ベッドを持ち出しました。

 ベッドにねっころがりながら、お茶があれば最高と、家の中から魔法瓶と紅茶のポットとお茶碗を持ち出しました。もちろんテーブルを持ち出すのも忘れません。

 「もしかして もしかしてだよ、夜中に おなかがすいたら どうしようかね」と、レンジも冷蔵庫もひきずってきました。

 次から次へと、気がつくと家のものはぜんぶ庭へ。

 そして肝心なことに気がついて・・・。

 レンジや冷蔵庫をもちだしても電気は? たらいをもちだしても水は? と突っ込みたくなりました。

 ばばばあちゃん、用意周到なのか、心配性なのか。

 ほんとにいそがしい夜。お星さまのことはすっかり忘れて ぐうぐう ねむる ばばばあちゃんは、とっても力持ちで楽天的です。

 星を眺めながらねむるのはロマンティックですが、冬だと寒そうですから、読むのも もうすこしあたたかくなってからのほうが よさそうです。


おばあさんのすぷーん

2020年02月09日 | 絵本(日本)

       おばあさんのすぷーん/神沢利子・作 富山妙子・絵/福音館書店/1969年初出1970年

 

 おばあさんが大切に磨いていつもぴかぴかに光っていたすぷーん。
 ところが、おばあさんが小川で洗ったすぷーんを落としたすきに、からすがつかんで逃げ出しました。
 からすは、宝物にして木のまたに隠し、落ち葉をかぶせておきました。それっきり、からすは すぷーんのことは忘れてしまいました。

 ところが、木の葉が散って雪が降り、風に吹かれてすぷーんは地面に落ちてしまいました。

 このスプーンを見つけたのはでぶちんねずみ、やせっぽねずみ、ちびすけねずみの3びき。

 すぷーんであそんでいると、すぷーんが すべりだし、あわてておいかけ、そのまま ちゅっく ちゅっく ちゅり ちゅり きっく きっく たのしいな と すぷーんで そりすべり。すぷーんの そりが ジャンプして おばあさんの家に とびこんこみました。

 よろこんだおばあさんは、ねずみたちに たべものを あげ おしゃべりです。からすが びっくりするように、まどから のぞいています。

 発行時期が時期だけに、色は抑えられ素朴な感じがします。ぴかぴかにひかっているすぷーんをのぞいて、ねずみも 楽しんでいます。

 おばあさんは、山のなかの小さな家に、ひとりずまい。ねずみとともだちになれて、冬をのりこえられそうです。


星どろぼう

2020年02月08日 | 絵本(外国)

   星どろぼう/アンドレア・ディノト・文 アーノルド・ローベル・絵 やぎたよしこ・訳/ほるぷ出版/1978年2011年新版

 

 まず、夢のあるタイトルで、どんなふうに展開するかワクワクします。

 ひとりのどろぼうが、空の星にさわりたくてさわりたくて、梯子をのぼり一番近い星にさわって、ひっぱってみると すぐにとれました。次から次へと手を伸ばし、とれた星をポケットにいれると、たちまちいっぱい。

 どろぼうは、何度も何度も星をとってくると、樽に入れて釘で打ち付け、地下室に隠しました。

 空に星がひとつもなくなって、村人たちはびっくり仰天。

 村の年よりは、「のこったたった一つのものを まもらねばならぬ」と、月をまもることにしました。星をぬすんだやつは かならず 月もほしがるだろうと 思ったのです。

 勇敢な若者がこん棒とつなをもち、梯子で満月にのぼっていきました。

 一方、どろぼうは 月の後ろに星があるかもしれないと、もういちど空に上る準備をしました。けれども、木ぎの てっぺんに 月が かっこうよく かかっているのをみて、星が見つからなくても月がほしいやと、月に網をかけようとしますが、かくれていた若者につかまってしまいます。

 村人がどろぼうの地下室から樽をもちだし、蓋をあけると、星が いっぺんに 四方八方へ飛び出し、村人は星に埋もれてしまいます。

 村中の子どもたちがあつまってきました。

 「これで、村中の人たちが、子どもたちまで、星にさわったことになる」と、どろぼうの独り言。

 星をもとにもどすことになったどろぼうが、梯子をのぼって星を空に押しつけますが、星はつーっと 地面に落ちて、草の上でひかっているだけ。のり、タール、パンのねりこでもだめ。星はつーっと おっこちてしまいます。

 村人たちが考え込んでいるあいだに、男の子が星に向かって 指を一本突き出し、星にさわると、星は、ぱーっと 光をはなち、鉄砲玉みたいに空にもどって、ぴったと空に くっつきました。

 男の子が「さわらせてって 心の なかで いいながら さわっただけ」というと、校長先生は、「そうだ! あの星は、この子が”さわらせて”さわらせてと おもったのを、ねがいごとだと 考えて、空に かえったんだ! ねがいごとは”空の星”に するものだからね」と気がつきます。

 それからは、村人たちが、つぎつぎにねがいごとをすると 星たちはひゅーっ、ひゅーっ、と空にもどっていきました。

 ところが、星が一つもなくなりどろぼうは、ねがいごとをすることが できませんでした。

 どろぼうは、ねがいごとをする資格などないといわれてしまいますが、どろぼうのねがいは、星にさわること。そして村中の人たちも星にさわることができたのは、どろぼうのおかげでした。どろぼうもいつまでも星を独占しようとは思っていなかったのでは。

 アーノルド・ローベルの描く星は、花びらのようで、表紙の見返しと裏表紙の見返しにある樽いっぱいの星が、輝いています。

 少し長めの話ですが、ねがいをこめるには、地面でなく、やはり空に星が必要です。


トラさん、あばれる

2020年02月07日 | 絵本(外国)

   トラさん、あばれる/ピーター・ブラウン・作 青山南・訳/光村教育図書/2014年

 

 町に住む動物たちは、みんなすまし顔。

 洋服をきっちりきめて、蝶ネクタイにシルクハット。そしてゾウもサイも、ヤギも二足歩行。

 言葉も、ご挨拶も丁寧。

 そんな世界にうんざりしたトラが、はじけたい、さわぎたい、あばれたいと おもいきってやってみました。

 四足歩行で高い建物に のぼったり、ベンチで大声でさけんだり、屋根から屋根にとびまわったり 噴水で泳いだり。

 我慢できなくなったみんなが、「そんなに暴れたいのなら森へいらっしゃれば!」というので、森へ駆け出し、おもいっきり暴れました。でも森では独りぼっち。

 ともだちにあいたくなり、まちがなつかしくなりました。

 もどってみると、みんなの様子が 前と違って、四足歩行で、自由に動き回っています。これなら、きもちよくのびのびできるかもしれないと思ったトラでした。

 動物も建物も直線主体で、色はセピアと落ち着いた色合い。トラさんだけが明るいオレンジ色で目立ちます。

 いつも行儀よくしなさいといわれるとたしかにうんざり。わかるわかる、ときには破目を外したくなる気持ち。 でもトラさん、もう少し暴れるかと思ったらやや控えめ。

 なぜほかの動物がかわったのか、もう少しでていたらラストも納得いったのですが・・・。

 やっぱり動物がすむのが町というのは、味気ありません。


図書館職員のおはなし会

2020年02月06日 | お話し会

 利用している図書館で2月と10月ごろ、職員によるおはなし会が開催されています。

2024.2.1

 この時期には珍しく暖かい日。しかし、ときおり 強風でした。

 1 四人のなまけもの(中国の昔話 おはなしのろうそく15 東京子ども図書館編)
 2 猫檀家(瓜子姫とあまんじゃく 松谷みよこ・作 講談社青い鳥文庫)
 3 ラクダにこぶがついたわけ(ゾウの鼻が長いわけ ラドヤード・キブリング・作 岩波書店)
 4 ものいうたまご(ヨーロッパから伝わったアメリカの昔話 おはなしのろうそく33 東京子ども図書館)

2023.2.2

 午前中のおはなし会。寒い日が続いています。風がやや強い日でした。

 1 絵本「おでんおんせん」(山田ゆみ子・作 福音館書店)
 2 犬と猫とうろこ玉(おはなしのろうそく15 東京子ども図書館編)
 3 リンデルーシュ姫をなおせるのはだれ?(カエルになったお姫さま 徳間書店)
 4 百姓のおかみさんとトラ(子どもに語るアジアの昔話2 こぐま社)
 5 ウサギとオオカミ(おはなしのろうそく29 東京子ども図書館)

2022.10.6 

 「秋の夜長のおはなし会」 午後六時頃には真っ暗と暮れるのが早くなりました。雨模様の一日でした。

 1 ちいさな魔女とくろい森(石井睦美・作 岡田千晶・絵 福音館書店)
 2 天福地福(おはなしのろうそく14 東京子ども図書館編)
 3 たまごのカラの酒つくり(イギリスとアイルランドの昔話 石井桃子:編訳 福音館書店)
 4 いたずらおばけ(瀬田貞二・再話 和田義三・画 福音館書店)

2020.2.6

 急に寒さがもどった日でした。

 1 しんせつなともだち(方軼羣・作 村山知義・画 君島久子・訳 福音館書店)
 2 天福地福(おはなしのろうそく14 東京子ども図書館)
 3 かしこすぎた大臣(インドの昔話 子どもに語るアジアの昔話1 こぐま社)
 4 がちょうはくちょう(おはなしのろうそく27 東京子ども図書館)
 5 雪わたり(同名絵本 宮沢賢治・著 堀内誠一・画 福音館書店)

 「かしこすぎた大臣」のオチに思わず笑ってしまいました。

 「雪わたり」宮沢賢治の作品を聞いてみたいとずっと思っていましたが、ようやく機会にめぐまれました。30分ぐらいでしたが、賢治さんの独特のリズムが抜群でした。

2019.10.3 

 「秋の夜長のおはなし会」 台風の影響か、雨模様の午後でした。

 1 三びきのやぎのがらがらどん(マーシャ・ブラウン・絵 瀬田貞二・訳 福音館書店)
 2 かにむかし(木下順二・文 清水崑・絵 岩波書店)
 3 おばあさんが、はねぶとんを手にいれた話(あたまをつかった ちいさなおばさん ホープ・ニューウエル・文 松岡享子・訳 山脇百合子・画 福音館書店)
 4 まじょがくれたバイオリン(カテリネッラおにのフライパン 剣持弘子:再話 剣持晶子・絵 こぐま社)

 開くと黒い三角帽子がとびでるプログラムと手がこんでいました。

2019.2.7

 今日は暖かい日ですが、このところ気温の変化がはげしく、土日にかけては最高気温がマイナスというところも。職員の方のお話を楽しめました。

 1 しゃれこうべ(チロルの昔話 おはなしのろうそく32 東京子ども図書館編)
 2 ちいちゃいちいちゃい(イギリスの昔話 イギリスとアイルランドの昔話 福音館書店)
 3 ホレおばさん(グリムの昔話 愛蔵版おはなしのろうそく8 東響子ども図書館編)
 4 おでんおんせん(絵本 山田ゆみ子・作 福音館書店)
 5 海の水はなぜからい(日本 子どもに聞かせる日本の民話 実業之日本社)
 6 シェヘラザード、猟師と魔人(子どもに語るアラビアンナイト こぐま社)

2017.10.12

 夕方。小学生なども聞いていました。テキストはいずれも、絵本ですが、図書館の主催らしく、各々の絵本の紹介もありました。

 1 だいくとおにろく(松居直・再話 赤羽末吉・絵 福音館書店)
 2 ふしぎなたいこ(いしいももこ・ぶん 清水崑・絵 岩波書店)
 3 おひゃくしょうとえんまさま(君島久子・再話 佐藤忠良・画 福音館書店)
 4 ねむりひめ(フェリクス・オフマン・絵 せたていじ・やく 福音館書店)

 この日は、三つが福音館書店発行の絵本。福音館さん、がんばっていますね!

2013.11.21

 1 にわそうじ(中川李枝子・作 こぎつねコンキチ 福音館書店)
 2 かえるをのんだととさん(日野十成・再話 福音館書店)
 3 かぜのかみとこども(おざわとしお・再話 福音館書店)
 4 まほうのかさ(R.ファイマン・原作 E.コンウエル・再話 福音館書店)

2012.11.15

 秋の夜長のおはなし会

 1 ファンが悪魔をつかまえた(メキシコ やなぎけいこ・再話 今井滋・絵 福音館書店)
 2 だいくとおにろく(松井直・再話 赤羽末吉・絵 福音館書店)
 3 はなのすきなうし(マンロー・リーフのおはなし 岩波書店)
 4 おまえにひとつ、おれにひとつ(墓場レストラン 怪談レストラン9 童心社)
 5 りこうなおきさき(モーゼス・ガスター・文 太田大八・絵 光吉夏弥・訳 岩波書店)


ぼくのこともわすれないでよ

2020年02月06日 | 絵本(外国)

   ぼくのこともわすれないでよ/シャーロット・ミドルトン・作 三辺律子・訳/ほるぷ出版/2007年

 

 イヌのダドリーは、毎朝いちばんはやくおきて、アンナと一緒にごはんをたべ、かくれんぼをし、夜は、アンナとお気に入りの場所で まるくなって のんびり。

 そこに、新しい家族 あかちゃんカメレオンのぺキートがくわわると、みんなの注目はペキートに。

 だれもダドリーには みむきもしません。なにをやっても ペキートの方が じょうず。

 ある朝、目を覚ますとペキートがいません。ダドリーはよろこびますが、いつまでたっても かえってこないペキートが だんだん心配になります。

 心配して探すにいくとペキートが危機一髪、ネコに襲われそうでした。ダドリーが、いままでだしたことのない大きな声でほえると、ペキートはたすかりました。

 アンナは「あなたは わたしたちのヒーローよ!」と、ダドリーに感謝。それからダドリーにはペキートをまもる大事な仕事ができました。

 新しい家族?ができて、それまでの立場をうしなって、さみしくなるダドリーの気持ち。ほかの場面でも見られます。

 ダドリーのえらいところ、それはいなくなったペキートを心配するところ。一緒に暮らすのが当たり前になると、いざ いなくなると気になるのが家族です。


こねずみとえんぴつ

2020年02月05日 | 創作(外国)

    12のたのしいおはなしとえのほん/こねずみとえんぴつ/ステーエフ・作絵 松谷さやか・訳/福音館書店/1982年

 

 「幼児のためのおはなし集」とあって、いずれも動物がでてくる12の話が載っていますが、素朴で微笑ましい話ばかりです。

 題名になっている「こねずみとえんぴつ」は、こねずみに連れていかれそうになった鉛筆が、最後に何か絵をかかせてくれとたのみ、こねずみと会話しながらかいたのがねこ。こねずみは悲鳴をあげて逃げていきます。鉛筆の作戦勝ちでした。

 「ひよことあひるのこ」は、うまれたのも、さんぽにいくのも、みみずをたべるのも、ちょうちょをつかまえるのもいつもいっしょのひよことあひる。

 「ぼく、およげるよ」と、あひるのこがいって、およぎはじめると、ひよこもとびこみますが、おぼれそうになって、みずあそびをやめてしまう話。

 「おんどりとえのぐ」は、しろいおんどりが、えのぐのところにいって、あか、あお、みどり、きいろを ぬってもらい だんだん いろがついていく お話。しろいおんどりは、描いた子が、いろを ぬりわすれていたのでした。

 作者は、旧ソ連のアニメーション映画の創始者とありました。


まじょがかぜをひいたらね

2020年02月04日 | 絵本(日本)

      まじょがかぜをひいたらね/高畠じゅん子・作 高畠純・絵/理論社/2015年

 

魔女も風邪をひく?

五歳の魔女の子が風邪をひいてしまいました。

まずは病院へ?

いやいや、魔女がいくのは「ようかいびょういん」。フランケン先生は、自分の治療でいそがしいし、オオカミ先生は、夜はオオカミだし、雪女先生は、もっと風邪を悪くしそう。

栄養をつけ、あたたかくして、薬を飲む?

ママのエキスをとって つくった料理をたべます。ちなみに魔女のママ、12345歳。数字を並べて手抜き?

体によく聞く薬は、くすり!と笑うこと。

とっておきの なおしかたは、かぜをうつすこと。”かぜのキン”をカメラで写すこと。

カメラで、風邪が治る? いろいろポーズをとると・・・。

風邪は人にうつさないで!


ご夫婦や親子でつくられた絵本もあるので、どんな関係かと思ったら、偶然とかいてあって、おもわずくすり。でもほんとは親子だったりと余計な憶測をしました。

遊び心があってユーモアたっぷりの絵本です。


ペトロニーユと120ぴきのこどもたち

2020年02月03日 | 絵本(外国)

   ペトロニーユと120ぴきのこどもたち/クロード・ポンテイ・作 やまわき ゆりこ・訳/福音館書店/2009年   

 

 ペテロニーユは、120ぴきの子どもがいるお母さんねずみ。でっかい哺乳瓶であさごはんをあげると、お買い物にでかけます。

 買い物の帰り、おいしげりの森をかえりますが、ここで とんでもない出会いが。

 トンチンカン・めだあぐりにつかまり、あわやエスカルゴに。

 ポヤポヤカンムリ・アメフラシがふらせた雨の雨宿りにかけこんだのは、みっつの石。雨の中で、こんなくらしは もうあきあきだという 石とトランプ遊び。

 まやかしのみちに まよいこんだみちをぬけると おかしのマドレーヌがないています。

 マドレーヌの涙で、みずうみになって、うみになって 先どまり。石からもらった小石を海に投げると、小石はどんどんおおきくなり、おぼれずにすみました。

 海のなかに、わが子、タルタンがいて、怪物がやってきて、みんなをエプロンにくるんでさらっていったという。

 空の女神の助けで、髪の毛橋をわたり、かけつけてみると、怪物すいこみらっぱ・ふっとぱな が、子どもたちをチョコレートがけにして、食べようと準備中。

 おっそろしい たたかいがはじまって・・・

 これまでの絵本とは印象がだいぶちがいました。

 ページの四分の一の下が文、上が絵。

 擬人化されたおなべ、モアイ像をおもわせる石、奇妙な草、羽をつけたすいこみらっぱ・ふっとぱな など、アニメにしたら楽しそうなものばかり。物語が あちこちテンポよく続き、躍動感いっぱいです。


パンのかけらと ちいさなあくま

2020年02月02日 | 絵本(昔話・外国)

       リトアニア民話/パンのかけらと ちいさなあくま/内田莉莎子・再話 堀内誠一・画/1979年初出、1992年


 悪魔のイメージが一変するリトアニア民話です。


 貧乏な木こりのお弁当の小さなパンのかけらさらって、悪魔のすみかに帰った得意顔の小さな悪魔に、大きな悪魔たちは、かんかんになっておこりました。

 「なんて やつだ!貧乏なきこりの大事な弁当じゃないか。さ、今すぐあやまりにいけ。おわびの しるしに、きこりのために働いてこい。なにか 役に立つことを やってこい。それまでは、帰ってくるな!」

 小さな悪魔はしょんぼりと、木こりのところにいくと、パンを盗んだことをあやまり、「おわびになにか させてください」といいます。「パンを かえしてくれれば、それで けっこう。はやくおかえり」という木こりに「それでは こまるんです。どんなことでも やりますから なにかいいつけてください」といわれ、木こりは どろどろの なんのやくにもたたない沼を、麦畑に 変えられるか」と、小さな悪魔に聞きます。

 地主の許しをもらって木こりが かえってくると 小さな悪魔は、さっそく仕事にかかります。

 おおきな木をかたっぱしから引っこ抜き、水をのみほしてしまいます。

 麦はぐんぐん のびて 見事な穂をつけました。

 ところが麦を刈り入れしようとすると、見事な 麦畑になったという うわさを ききつけた地主がやってきて、麦を一本残らず 刈り取って引き上げていきました。

 はじめは泣いていた小さな悪魔は、すぐに元気をとりもどし、地主の屋敷にでかけていき、木こりのために一束だけでもいいから わけてくれと話します。

 一束ぐらいならと 地主の了解をえると、小さな悪魔は、長い~長い縄をつくり、納屋にあるあるだけの麦を 縄で結んでしまいます。

 おこった地主が、めうしを小さな悪魔に襲い掛からせようとすると、小さい悪魔は とびかかってくる おうしたちを ひょいひょいと つかまえて 大きな麦の束をのせ、さっさとかえっていきます。

 「これで ぼくが あなたの だいじな パンを 盗んだのを ゆるしてくれますか」というと、もちろん木こりは小さい悪魔に大感謝です。

 大きな悪魔のところで、てれくさそうに頭をかいている小さい悪魔は、影絵ですが、とっても嬉しそうです。

 悪魔や魔物はむかし話では損な役割で、主人公の盛り立て役ですが、ここでは小さな悪魔が主人公。人の役に立つ悪魔は ほかにあまり見られません。悪魔は”あくま”としたほうがいいのかも。


ぞうさん うんちしょうてんがい

2020年02月01日 | 絵本(日本)

         ぞうさんうんちしょうてんがい/ねじめ正一・文 村上康成・絵/くもん出版/2019年

 

 動物園のぞうさんが あしもとにころがっている おおきなうんちを 鼻で びびゅーんと飛ばしたら、いつもより鼻のちょうしがよくて、うっとりするほどたかくとおく、フェエンスをこえ 飛ぶ鳥をかすめ、そらのくもをつきやぶり とんでいったのは商店街。

 飼育員のおじさんと商店街まであやまりにいくと、「商店街の名前をぞうさんうんちしょうてんがいにしてもいいかな」というので、ぞうさんが「いいですよ」と答えたら、冗談ではなく、本当に「ぞうさんしょうてんがい」になって、売り出したのは・・・。

 うんちめがね、うんちぼうし、うんちけんだま、うんちハイヒール、ここまではまあまあ。

 ほかにも、うんちバーガー うんちもなか、うんちコロッケ、うんちソフトクリームもいっぱいうれたというのは、気にしないで買う人がいたんでしょうね。

 でも、商店街の人が ぞうさんに お礼をして、像舎が豪華になり、フェンスもあたらしくなったので、ぞうさんがうんちを つかんで びびゅーん ととばしても 動物園の外までとばなくなって ぜんぜんつまらなくなってしまいます。

 貼り絵ですが、とんでいく うんちを 驚きながら 見上げる動物たちの表情も楽しい。

 商店街の活性化には あっとおどろく発想があってもいいのかも。