Mars&Jupiter

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ルーズ・ランゴーの交響曲第12番「ヘルシンゲボリ」BVN318を聴く

2013-07-07 07:02:30 | 古典~現代音楽デンマーク編
やっと風邪も治ったかの感じです。
今回取り上げるのは1893年デンマーク生まれの作曲家ランゴーの作品で、
1946年に作曲された交響曲第12番「ヘルシングボリ」BVN318を聴いた。
交響曲第1番に対する歪んだ夢への作曲者自身の回想といっていいのか、
短い7分足らずの作品の中で作曲者の感情が表現されているのかもしれない。
副題は「ヘルシングボリ」でこれ自体はスウェーデンの都市の名前であり、
あまり、作品とは結びつけるものはなさそうである。
作曲者の公式サイトではHelsingがスウェーデン語で、
「地獄」を意味するのではないかと書かれてあり、興味深い。
もしそれがそうだとすると、都市の名前に隠されているが、
本当の意味としては作曲者自身が味わった後半の人生の中での
音楽界から無視し続けられた「地獄」のような体験が関係しているのかもしれない。
今回聴いたCDはトマス・ダウスゴー指揮、デンマーク国立交響楽団の演奏による。
単一楽章制のこの交響曲の冒頭は情熱的な音楽で、
Furiously!(猛烈な勢いで、荒れ狂って)で始まる。
ロマン派的で叙情的な旋律で始まり、
これは若い時の彼の情熱的な感情を示しているだろうか。
そのあとは「品格のある様式で」となり、おだやかな感じの音楽がしばらく続く。
そして「徐々に興奮して」とあるように再び盛り上がりをみせていき、
交響曲第1番に見られるようなワーグナー風の音楽になり、
そのあと金管楽器の音で曲調が代わり、神経質的な音楽になり、
再び冒頭の情熱的な音楽が現れ、トランペットとともに華やかになり、
行進曲風に進んだあと、ティンパニと金管楽器で盛り上って突然終わる。
それは舞台の幕引きのようでもあり、交響曲第1番で一度脚光をあびた作曲者が、
その後もデンマークの音楽界では認められず、
無視され続けたこの作曲家のことを象徴しているようでもあり、寂しい。
コメント
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