渋谷区松濤にあるフレンチ・レストラン「シェ松尾」に行きました。前回のブログでも書いた、古希祝いの時のことです。
国内初のハウスレストランとのこと。ランチタイムに行ったのですが、蔦の絡まった大正時代の洋館は、時を味方につけてとても魅力的でした。先日発表されたミシュランガイド東京で☆を獲得したそうですが(シェ松尾にとってその評価は本意か不本意かはわかりませんが)、そのことをほのめかすこともなく、12月だからといってクリスマスモードになるわけでもなく、その淡々とした演出がとても心地よく思いました。
一番奥にある窓辺のテーブル。レストランのメインはディナータイムなのでしょうが、庭や建物そのものが魅力ある空間では、ランチもとても楽しいものです。
見ても味わっても素晴らしい料理。
「スタンダール風」と名付けられた大根のスープ。??と思っていたらグラスの中で赤と黒の2色構成。リンゴが天ぷらになっていたりと、シャレと創意に溢れまったく飽きません。美味しい料理は数あれど、これほどに創意を重ねる料理文化というのはフレンチ特有かも知れませんね。
BGMの無い空間に、ソムリエ田野氏のボソボソ声が響きます。朴訥とした雰囲気でありながら、随所にジョークの混じった軽妙なトーク。自然と、目の前に出された料理やお酒の曰くに満喫していきます。かしこまるというより、リラックスした雰囲気。
皇室がご使用になられる部屋を見せてもらいました。美しく飾られた銀食器の数々。銀は放っておくと黒ずんでしまうので、時折、時間をかけてゆっくりと磨くそうです。ワイルドガーデン風の庭も、そのように見せるための手入れも大変そうです。
すきま風の多い、古い洋館。その雰囲気を保つ腕も一流だということなのでしょう。せっかく美しく保たれた銀食器のそばにある、ひん曲がったコンセントプレートや電話機の選び方にはついつい難クセをつけたくなってしまったけれど(いけませんねぇ建築家は。モノにだけは異常な執着をみせるので・・・)
最後に店の前で家族写真を撮ってもらおうとしたところ、来た車をヒョイとよけながら「こう見えても命だけは惜しいので」とさらりとジョークをとばしつつカメラを構える田野副支配人、素適です(笑)。また何かの記念日のときには来ますね。