草若師匠が死んだ。
これは、今朝のNHK連続テレビ小説「ちりとてちん」の話。大阪の落語家一門「徒然亭」を舞台にした、笑いあり涙ありの物語。NHK大阪さん、今回もハズレなしです!
物語の内容自体が面白いだけでなく、僕個人としてとても興味をもつのが、師弟関係を主題にした物語であるということ。ある落語の大家と、個性あふれる5人の弟子のかけ合いが魅力です。僕自身もかつて「師弟」という関係のなかに身を置いたので、その独特の関係や価値観についてはわかる気がします。僕の建築の師匠である村田靖夫さんの事務所には、当時ちょうど5人の所員がいて、そんなところも「ちりとてちん」の徒然亭一門に共感を覚えるところでしょうか。
師弟関係というのは、上司と部下の関係というのとはまた違い、正しい正しくないの話以前に、師匠が言うことがすべての世界でした。サラリーマンを経て入所してきた当時の僕は、それなりに自己主張も強く、とても「扱いづらい人間」だったそうですが、そんなワカモノにいろいろなことを叩き込みながら一軒の住宅設計をまとめていく師匠の労苦は図りしれないものだったと思います。
結果として、毎朝、緊張とともに目が覚めるような激しい日々でしたが(笑)、当然ながら、そういう仕事を通して、自分の生き方のようなものも筋道がたてられていったように思います。
そんな師匠も、昨年に他界しましたが、僕にとってはいろいろなところで思い出しながら生きていくことになります。う~ん、ますます、今後の「ちりとてちん」の展開が気になるじゃないか。NHK大阪版の連続テレビ小説の面白さは、関西のノリツッコミ的な面白さだけでなく、人の生死も話に絡み、笑いのなかに人生の奥深い部分を感じさせてくれるところかな、なんていう風にも思います。