自由が丘の家でつくりなおしていた庭が、ひととおり植え替えが終わりました。
祖父母の代から、半世紀以上もずっとかわらずあり続けた庭の在りようを変えるのは、僕としてはそれなりの覚悟と勇気が必要だったけれども、より積極的に「過ごすための庭」にするために、思いきって大がかりにやりかえました。
中心にあるのは、枕木でできたテラス。そこでは、古くから植わっている梅の木と柿の木が、心地よい樹影をつくってくれます。まだ初夏のこの季節、日影にはいるととても心地よいもの。どんなテーブルとベンチを置くか、今から思案のしどころです。
そのまわりには、枕木で小道をつくり、草花に囲まれるようなコーナーをつくりました。地被植物や、背の高くなる草花を織り交ぜて植えてもらいました。今はまだ「植えてある」という感じですが、2~3年もすればだいぶ馴染んで、植物に囲まれた小道とテラスが実現できることと思います。
こうして見てみると、8年前に建ったこの家は、庭の木々や草花の背景としてできているように感じられてきます。建物自体がオブジェのように鎮座するのではなく、心地よい場所をつくりだすための縁取りのような存在になってくれていること。そういえば、旅行で印象に残る光景って、それ自体が主張するものというよりも、街中に調和し溶け込んでいる優しい印象の場所が多かったようにも思います。
新しい庭がはじまりました。そして住まいのあちらこちらで、新しい光景、新しい居場所が生まれてきました。室内にいると、窓から緑の気配を含んだ光がはいってくるようになりました。
住まいのなかに、ひとつひとつ奥行きを与えていくこと。8年目のこの住宅に、また楽しみが加わってきています。