実現しなかった案へのレクイエム。

2012-05-23 18:30:11 | 住宅の仕事

最近、いくつかの住宅の設計を並行してすすめているのですが、そのうちのひとつが、「自由が丘の家」の増築です。僕の家族の住居と設計アトリエを併設する計画です。ぼんやりと頭で思い描き始めてから、はや数年。後回しにしながら時間がかかり、結果的にいくつものプランをつくってはボツになっていきました。写真は、かなり本腰を入れて模型までつくったにも関わらず、諸々の理由から実現に至らなかった案です。既に模型も解体され存在しませんので、写真の中だけの思い出です(笑)

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「自由が丘の家」は、もともと半世紀にわたり建っていた古い家屋を建て替えた家です。古い家にあったもの、庭木や家具などを多く残し、それらを引き立て、共存するような生活を思い描いて設計したものでした。「時間のリレー」とでも言うのでしょうか、ずっとこの土地に流れてきた時間を受け渡していくようなイメージです。そんなイメージから選んだ壁の仕上げ材料は「黒漆喰」でした。雨風に晒されて、年月とともに風化していくような独特の味わいがあります。昔からこの土地にあったものと同様、「時」を見方につけて魅力的な表情に変わっていくことを楽しみたいと思ったのでした。

写真の増築案では、アトリエと黒漆喰の壁の間にデッキを敷き、ちょっとした中庭のような雰囲気にする計画でした。アトリエからはすぐに中庭デッキに出られ、コーヒーで一休みするのも気分がよさそうだなあ、そうだ、シンボルツリーを一本植えよう・・・とか、仕事以外のことばかり考えてデザインしていたような・・・(笑)

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「時間をつなぐ」コンセプトを大切にしながら、いろいろな検討をして、最終的には模型とは別の案にまとまりました。その案の話は、また後日に。

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