シャルダンの絵

2013-01-07 15:43:46 | アート・デザイン・建築

あけましておめでとうございます。今年も、ブログにお付き合いくださいますよう、よろしくお願いいたします。

さて、年末のブログで「駆け込みで行きたい展覧会」と書いたのは、丸の内の三菱一号館美術館で開催されていた「シャルダン展」だったのですが、まさに駆け込み!で観ることができました。さして特別でない日常の器物を描き続けた静物画家として、18世紀フランスの画家シャルダンは有名です。

シャルダンの静物画は、写実的のようでありながら、そうではありません。実際に見えるままに描くのではなく、そこにあってほしい光と影と色彩が、丁寧に描かれています。何か物語性を伝えようとするのでもなく、作家の個性をひけらかすのでもない、穏やかな、静かな画面。

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展覧会で、僕は2枚の絵ハガキを買いました。晩年に描かれた、一見似たような2枚の絵。果物や器だけの簡素な絵は、やはり画家の円熟の極致を示すものだと思います。日常のなかのたんなる事物から、独自の存在感と美しさが滲み出るかのようです。

あたりまえの日常のなかにこそ、美しさがある、と言った芸術家や作家は、多くいます。美しいものは、新たに生み出されるのではなく、見いだされるべきものなのかもしれません。

僕は住宅の設計をするとき、「ありふれたものこそ美しい」とする先人たちの言葉を信じたいという気持ちがあります。ですから、つくる家の姿かたちにしても、そのまわりにあるあたりまえの事物を引き立たせるようなことに、目を向けたいと思っています。つまり、生活のなかのたんなるものが、趣きをもって感じられるような場所をつくりたいと思うのです。そういうところに、住宅の懐の深さというのは自ずとあらわれるような気がしています。

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