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とても暑い夏に訪れたイタリアの街アッシジのことを、よく思い出します。
アッシジはイタリア中部にある小さな街で、聖フランチェスコの生きた街としてカトリックの聖地になっています。
エリオ・チオルの写真集や、作家・須賀敦子さんのエッセイに触れて以来、ずっと訪れたいと思っていました。
とりわけ、街の中心部から離れたところにある、サン・ダミアーノという小さな修道院に思いを強く抱いていました。
小鳥のさえずりを聞きながら、オリーブ畑の続く坂道をずぅっと下っていったところに、サン・ダミアーノがあります。
須賀敦子さんは、このなかにある小さな庭がとても好きだったそう。
「聖キアラの庭」とよばれているそうですが、庭というよりも小さなテラスのような雰囲気で、小さく開けられた視界からはトスカーナの風景につながります。
この小さな庭には、いつも草花が活けられているそうで、しばらくこの場所にいると、心がとても静かになっていきました。
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修道院ですから、祈るための部屋があちらこちらにつくられています。どの部屋もシンプルでつつましやかな雰囲気で、小さな窓から入ってくる自然光が穏やかに室内を照らしています。
長く使い続けられていたであろう木製のベンチや書棚がすっかりいい味になって、自然光のなかで美しく浮かび上がっていました。
そうした部屋の隣に、この小さな庭があって、草花もあって、風景もあります。
室内も庭も小さいのだけれども、それがかえって親密で、愛らしく、安心感に満ちた雰囲気でした。
こういうのを、心の寄る辺になる場所、というんだろうなあ。