阿佐ヶ谷で建てている現場が佳境に入っています。
御祖父様が大切に育ててこられた庭木を残し、寄り添うように建てた家です。
すべての庭木を残すことはできなかったけれど、それでもいくつかの主要な木々を残すことができました。
足場が外され、家の外観が姿を現しました。
と言ってもこの家での主役は、新しくできた建物の外観よりも、むしろ古くから残る庭木です。
簡素で静かな雰囲気の外観は、古い庭木の背景となり、樹影が壁に映り込みます。
古い家。
人工的な新建材が流通する以前に建てられた家のもつ、素朴で確かな物の質感。
建て替えることになったけれど、経てきた時間にそっと繋がるように、新しい家でも新建材はなるべく使わず、自然素材を多用することになりました。
それはキッチンでさえも。
家の中心に配されるキッチンは、タモの無垢の木で作られることになりました。
手掛けるのは、無垢の木を活かしたキッチン製作を得意とする家具工房 フリーハンドイマイさん。
上の写真は、キッチンのカウンターを裏返してあるところ。
カウンターが大きく張り出すデザインですから、ちょっとかがんで見上げるとカウンターの裏面が見えます。
そこに突然ベニヤ板などが見えると残念ですよね。だから、ここにも無垢の木がしっかりと使われています。
確かな物作りの片鱗が見えて、設計者としても嬉しくなってしまいます。
工事中の室内にも木漏れ日が入る、穏やかな雰囲気の現場が、もうすぐ終わろうとしています。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます