数年前にイタリア中部のアッシジを旅行したとき、サン・ダミアーノという修道院を訪れました。
イタリア在住時の記憶を珠玉のエッセイにしたためた須賀敦子の著作や、エリオ・チオルの写真集などの影響で、僕にとっては訪れる前からかけがえのない場所でした。
ですが大学の建築学科の授業や専門書ではまったく登場しない場所です。そういうものなのですよね、本当に「効いてくる場所」というのは。
実際に訪れてみると、僕にとっては理想とも思える場所でした。
集まって暮らすことの理想形、というのでしょうか。
個人が一人で過ごす場所と時間、そして他者と関わりながら過ごす時間と場所。
そういったことがとても自然に感じられる雰囲気に満たされていました。
平穏と安らぎ。
そういったことをじんわりと思い浮かべました。
華々しい建築デザインというよりも、平穏や安らぎの感覚をもたらしたい、という思いをより強くした経験でした。
そうした旅の記憶が徐々に僕の内面のなかでも熟成されて、新たな設計のなかに活かされていくといいのですが。
今年もブログにお付き合いくださいましてありがとうございました。
どうぞよいお年を。
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