先日工事がはじまった「印西爽居」では、建物以外にも大きな楽しみがあります。それは、施主の実家に多く保管されている山桜の板材を用いて、大きなダイニングテーブルやベンチ、それから、ちゃぶ台を作ることにしています。
僕の知り合いに古市さんという腕利きの家具職人がいて、製作を古市さんにお願いすることにしました。家のデザインや使い勝手に合わせて僕が図面を引き、古市さんが製作するという二人三脚で、家具が出来上がっていきます。
昨日は、工房のある山梨県塩山市から、はるばる千葉県東部の香取郡まで出向いていただき、資材の受け渡しをしました。
よく晴れた絶好の行楽日和。高速道路のサービスエリアで待ち合わせ、連なって現地へ。建設業を営んでおられる施主の叔父様にも手伝っていただき、ホイストクレーンを用いて資材をおろしながら、目当ての材料を探していきました。
当初は埃にまみれてよくわからなかったのですが、埃を払ってみてみると、木の芯に近い大きな山桜の板材が出てきました。数十年も保管してあった良材。2枚接ぎで大きなテーブルが作れるほどの大きさです。木目の美しさに家具職人の古市さんも目を丸くしていました。最近では、材木問屋に行っても、良材はなかなか入手できないそうです。良材そのものが無いわけではないのですが、ベニヤ加工用などに大枚をはたいて業者が買っていくそうで、家具職にわたる材木は、その残りというところだそうです。家具職にとって、いい樹木に巡り会うことはこれ以上ない幸運なのかもしれません。古市さんにとっても、気合いの入る仕事になりそうで、声をかけた僕としても嬉しい限りでした。
トラックに材木を積み、お気をつけてと声をかけて車を見送りながら、これからの寒い季節の間に、山あいの小さな工房のなかで、山桜の大きな板がゆっくりと丹念に手をかけられながら美しい家具に生まれ変わっていく様を想像していました。
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