僕は京都に生まれ育ちました。京都市は東北西の三方を山で囲まれ、南側に開けていく地形をしています。僕が生まれたのはその北側にある山の近く。北山といわれる地域のなかにありました。そこから南にむかって市街がひらけていき、洛北とよばれる地区になっています。小学校、中学校をふくむ洛北地区一帯が、僕の幼き頃の原風景をかたちづくりました。時をへだててその記憶は、今の僕の価値観・美徳に大きな影響をおよぼしているし、むしろそこに還っていっているような気さえします。
現在では実家も京都からなくなり、地縁はなくなりました。失ってはじめて、かけがえのなさもわかるというものです。僕はけっして京都全般について詳しいわけではありませんが、僕の断片的な記憶と、その舞台のいまむかしをエッセイにまとめることで、あるひとつの京都像を描いてみたいと思いました。なので、紀行文でも解説文でもなく、「京都さんぽ」と題したゆるゆる談をこのカテゴリに綴っていこうかと思います。
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