一年点検で訪れた「大磯の家」。久しぶりの訪問だから、気持ちよく晴れてくれることを望んだけれど、なぜかその日だけ、冷たい雨。
ちょっとがっかりしつつも、晩秋の雨に濡れる平屋の家は、むしろしっとりとした風情で、良い時に出会えたことを嬉しく思いました。
雨が似合う家は、いい家。
僕にはそんな信条があります。
雨の日に室内にいて居心地よく感じること、安心感を感じること。
そんなことを大切にしたいと思います。
前掲の写真は前回のブログと同じシーンの写真ですが、前回のブログでは新緑の季節。今回は紅葉の季節。
同じ場所でも変化があるのは楽しいもの。
写真では映しきれないけれど、葉の色は渋く、黄色味を帯びています。
大工さんが丁寧につくってくれた木の窓枠や、家具や小物の質感が映えて。
そんな風情に寄り添いつつ窓辺のテーブルに座って過ごす時間は、やはりいいものです。
住宅のデザインをする人の心は、極端に分けると二通りあるのではないかと思います。
ひとつは、空間に「訪れる」人の心境を思い描きながら、気分が高揚するようなデザインを求めること。
もうひとつは、空間に「帰ってくる」人の心境を思い描きながら、平穏に誘うようなデザインを求めること。
昨今ではWEBで多くの住宅デザイン事例写真を閲覧できるようになりましたが、その多くは華やかで「訪れる」デザイン派のものが多いように思います。
きっとそのほうがフォトジェニックですしね。
でも、僕は「帰ってくる」デザイン派として、より腕を磨いていきたいなあと思います。
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