た・たむ!

言の葉探しに野に出かけたら
         空のあお葉を牛が食む食む

竹鶴35年

2009年03月11日 | 食べ物
 とあるバーで。

 借金してでも飲みたい酒があることを知った。あと数滴ほどボトルに残っているのを追加注文しようとしたら、それは予約が入っているので駄目だと言われた。何でも、東京からわざわざその数滴を嗅ぎに松本まで来る人がいるらしい。ほんとか知らん。閉店後マスターが自分で飲みたいだけなのではなかろうか。

 空になったグラスを、未練がましく何度も鼻にあてる。

 35年は、私と同じ歳である。ついでにマスターとも同じ年である。こんな芳しい歳の取り方を我々はしているだろうか、と彼に問うたら、首筋のあたりから、と彼が答えた。首筋のあたりから、おやじ臭がしてますよ、と。

 冗談じゃない。35歳はこんなに若く、深みがあるのだ。こんなに素敵なのだ。よし、何だか元気が出てきた。マスター、お勘定。
コメント (2)
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