た・たむ!

言の葉探しに野に出かけたら
         空のあお葉を牛が食む食む

11月末日

2009年11月30日 | 俳句
集金が 戸を叩けども 南天の家


※『断片(改改)』は仕上げのため、一旦削除します。いつの日か、完成稿をアップできることと思います。


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布団

2009年11月25日 | essay
 詰まらない話を続ける。
 子供のころから、私は寝相が悪かった。実家の冬が厳しかったので、どうしても寒いときは、兄と一つの電気炬燵を両側からは挟むように共有して寝たことがあるが、朝起きたら炬燵の脚が折れていた。まあそういう兄弟だったのである。
 大人になってさすがに炬燵の脚を折るほどの武勇伝は無くなったが、私の知的好奇心を喚起してやまない謎めいた現象が続いている。縦長の布団が、朝起きると必ずといってよいほど横長になっているのだ。俵むすびのように顔と足がはみ出している図である。当然足の先が寒くて目覚める。どうしてこんなにこの布団は短いのか、と半分夢見心地に悪態をつき、ああ、横になっているのだと気づいて直す。
 問題は、その頻度である。寝相が悪い時、十中八九横長布団になっているのは、なぜか。そこには睡眠時の運動の法則のようなものも絡んでくるのだろうか。北半球の低気圧は反時計回りに風が吹き込むと聞くが、布団を動かす両手の動きにも反時計回り的規則性があって、布団は漸進的に反時計回りに移動していくのか。とするとそこには地球の自転まで関わってくるのだろうか、と、この辺でやめておかないとまたお叱りを受けそうなのでやめる。
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木刀

2009年11月24日 | essay
 先日、温泉旅行に行ったついでに、木刀を購入した。

 さすがに同行した家人には大いに笑われた。中学生の修学旅行じゃないんだからと言われた。しかしなんと言われようが、私は木刀で運動不足を解消することに決めたのである。庭先で、まるで剣の道に生きる者のようにびゅんびゅんと風を切る。課題だった上半身の強化になるし、王貞治が素振りで畳をすり減らしたように(確かそんな逸話が小学生のころ読んだ伝記にあった)、私の足踏みだけで庭の雑草という雑草は押し花よろしく土に押し固められてしまうであろう。一石二鳥ではないか。

 ただし昼間は近所の噂もあるのでおおっぴらにできない。夜は夜で仕事疲れでできない。そんなこんなで、購入してはや一カ月が経とうとしているが、振りぬいた回数は合計でも百を超えないと思われる。

 風を切る音も一向に聞こえない。回数が少ないので息切れもしない。実に静かな運動である。

 剣の道は、厳しい。 

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11月15日

2009年11月16日 | essay
 この一週間でバケツ一杯分の鼻水をかんだのではないかと思われる。流行には乗り遅れるのが常なので、新型とかAとかBとか洒落た言葉を冠するものではないようだが、体調が思わしくないのは確かである。じっと寝ていても今ひとつさっぱりしない。思い切って体を動かしてみようと、休日に家人と卓球を試みた。勝ち続けているときには目覚めたように体の調子が良かったものの、負け始めると途端に鼻が詰まり始めた。どうも精神が大きく作用しているようである。
 
 夜は、知人に招待されてライブを観に行った。六十年代というのか七十年代なのか、とにかくその辺りの洋楽を歌う、いかにもロックバンドらしいロックバンドだった。私の知人は私より年上である。どちらかというと「おっさん」と呼ばれるに相応しい年齢のはずだが、エレキギターを自分の体の一部であるかのように自在に操り、陽気な音を出していた。素敵であった。一方で私は、客席に縮こまり、鼻水の出具合と相談しながらウィスキーのロックをちびちび飲んでいる。精神だ、やはり精神の問題だ、と悟ったところで、我慢しきれなくなってトイレに立った。
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入れ子の箱

2009年11月04日 | Weblog
孤独はときに、不意に、入れ子の箱のような感覚で現れる。

外箱を一度開けば、その中にある箱も開けざるを得ない衝動に駆られる。

そのさらに中にある箱も、そのさらにさらに中にある箱も。

すべての箱を開けつくしたとき、最後の箱の中の、実に小さな空間が

孤独のそもそもの理由であったことに気づく。
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