夏が言いました。
「わしは暑い」
冬が言いました。
「わしは寒い」
夏と冬が言いました。
「じゃあ秋は?」
夏が誇らしげに言いました。
「わしは山々を緑にする」
冬が誇らしげに言いました。
「わしは美しい雪を降らせる」
夏と冬が不満そうに言いました。
「じゃあ秋は?」
夏が秋をなじりました。
「お前さんはちゅうとはんぱなのだよ、やってることが。草木を育てることもできなければ、一面を銀世界に変えることもできない」
冬が秋をからかいました。
「お前さんが一体何をした? 木の実を熟させたと言いなさんなよ。そりゃ夏さんの努力があってこそだ。朝晩を冷やしましたなんて言いなさんなよ。そりゃわしが早めの準備をしているんだ」
夏と冬が秋をとりかこんでつめ寄りました。
「お前さんは一体何ができる?」
秋がか細い声で答えました。
「私は夏の終わりを知らせます。冬が来るのも知らせます。私は夏と冬の変わり目をみんなに知らせます」
夏が舌打ちして言いました。
「ちぇっ、知らせるだけか。ま、お前が知らせなきゃわしは終われないからな」
冬が肩をすくめて言いました。
「大した仕事じゃないなあ。ま、お前のおかげでみんな、わしの来る心構えができるのだが」
夏と冬がうなずき合って言いました。
「ま、それならそれでいいか」
こうして夏と冬は、秋からはなれてもとの位置にもどりました。
すべてはいままでどおりです。夏の横に秋が、秋の横に冬が。
めでたしめでたし。
「わしは暑い」
冬が言いました。
「わしは寒い」
夏と冬が言いました。
「じゃあ秋は?」
夏が誇らしげに言いました。
「わしは山々を緑にする」
冬が誇らしげに言いました。
「わしは美しい雪を降らせる」
夏と冬が不満そうに言いました。
「じゃあ秋は?」
夏が秋をなじりました。
「お前さんはちゅうとはんぱなのだよ、やってることが。草木を育てることもできなければ、一面を銀世界に変えることもできない」
冬が秋をからかいました。
「お前さんが一体何をした? 木の実を熟させたと言いなさんなよ。そりゃ夏さんの努力があってこそだ。朝晩を冷やしましたなんて言いなさんなよ。そりゃわしが早めの準備をしているんだ」
夏と冬が秋をとりかこんでつめ寄りました。
「お前さんは一体何ができる?」
秋がか細い声で答えました。
「私は夏の終わりを知らせます。冬が来るのも知らせます。私は夏と冬の変わり目をみんなに知らせます」
夏が舌打ちして言いました。
「ちぇっ、知らせるだけか。ま、お前が知らせなきゃわしは終われないからな」
冬が肩をすくめて言いました。
「大した仕事じゃないなあ。ま、お前のおかげでみんな、わしの来る心構えができるのだが」
夏と冬がうなずき合って言いました。
「ま、それならそれでいいか」
こうして夏と冬は、秋からはなれてもとの位置にもどりました。
すべてはいままでどおりです。夏の横に秋が、秋の横に冬が。
めでたしめでたし。