地元の温泉「白糸の湯」にて詠める歌

 

　東屋と母屋の間に落ちる雨

 

　　　手を差し伸べて又　　湯舟に沈まん

秋一首

　小諸城址（懐古園）の紅葉を見る。落ち葉を踏みしめて、つくづくと思う。

 

 

 

痴れ者は　今も昔も　風吹けば　先を争い　散り果つ落ち葉

 

狂歌一首

　　こうのとり　　 運ばぬものは　 　数知れず


　　　　　　　　　　　　犠牲となりし　　　生まれえぬ子ら　　　　

冬一首

　かつての学友、東京より来たる。

　一晩飲み、翌日共にスキーをして別れる。


大学を　取り戻すとて　飲む麦酒　久方の友　氷点の街


　

甲府に向かう道中の食事処にて

　もくてきも　いみも　要らぬと　さとるとき

　　　　　　　こころに　沁み入る　旅先の　あめ

歌一首

世界とは　出会い　知り合い　他流試合

　　　　　　　　　気づけば連れ合い　　傷つけば愛


──Ｓ君から受け取りし短歌つき絵葉書に対する返歌として詠める歌

朝顔

車ばかり所狭しと行き交えど

　　路肩の朝顔はみな上を向いて咲く　

秋ぐち

秋風や　寿司屋で景気を尋ぬれば　一貫のみでも客は客なり

忙殺の終わりに（城の堀を眺めてひとり宴を冷ましつつ）

はくちょうは
たれが見ずとも白鳥なりき
このよいに
このよいにてぞ
夏はおわりぬ

＊

今日ついた　嘘の数だけマッチを擦れば　幼き顔に夜叉の隈取