毎年恒例のおっさん三人スキーツアーが先週敢行されたが、ついに天罰が下された。朝から缶ビールを四本開けて気炎を発していた寿司屋の親父が、まず一発目の滑り初めでいきなり転倒、腕を骨折したのである。我々はまだ雪もろくについていないスキーを車に仕舞い、三人とも青い顔をしてほうほうの体で病院に駆け込んだのであった。これが天罰でなくて何であろう。もし懲罰の天使というものが存在して、スキー場をうろうろ徘徊しながら今日の生贄を探していたなら、我々三人にすぐ目をつけたろうし、その中でも寿司屋を狙ったのはまったくうなずける。彼が一番飲んでいたのだから。ちなみに運転手の私はノンアルコールビールである。懲罰の天使もその辺はちゃんと見てくれていると思う。
しかし事態は冗談でなく深刻であって、彼は即入院、翌々日手術となった。翌日手術にならなかったのは、肝臓の検査に引っかかったためである。医者からは節酒ではなくずばり禁酒を言い渡されたらしい。まあこれで彼が心身内臓共に健康体になるなら、長い目で見て益があるのかもしれない。それにしてもこの書き入れ時に、店を休まざるを得ないのは辛い。非常に辛いのが傍目にもわかる。同行者としてまったく良心にとがめが無いわけではない。彼が店を再開したら、もっと足繁く店に通い、微力ながら経営再建に協力しよう。そして店がまた順調になったら、彼をせっついて、一日リフト券分くらいは回収しなければ。