た・たむ!

言の葉探しに野に出かけたら
         空のあお葉を牛が食む食む

2月27日

2009年02月27日 | Weblog
現代に正しく生きるにはどうしたらよいか。

 その答えが見つからないから生きられない、と思う人がいる。

 その答えが見つからないからこそ生きられる、と思う人もいる。
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2月24日

2009年02月25日 | Weblog
 仕事に追われ何も書けない日々が続くので、書くことがなくても日記を続ける。前二日の日記は、日付が一週間分間違っていた。人に指摘されたが、それでも気付かず、再び指摘されてようやく事態を呑み込む次第である。大変危険な状態である。地上に足をつけて歩いている気がしない。
 近所の図書館に仕事で立ち寄り、ついでに付設の喫茶店で昼食をとる。すでに昼は食べていたにもかかわらず。胃を苦しめてもいいから喫茶店で時を過ごしたかったのである。喫茶店に逃げ込みたかったのである。それなら珈琲を飲めばいい。いやしかし、珈琲を飲むほどの心の余裕すらなかったのである。
 窓辺の席に座る。店内はカウンターでスポーツ新聞に顔を埋める男の他、がらんとしている。窓から差し込む日差しはとてもやわらかく、私は左肩を陽に預けて眠るようにうなだれる。来るとき肩に触れた霧雨は続いているのだろうか。顔を上げる。窓から見える中庭は、湿っているようにも乾いているようにも見える。
 窓か。私は小さい頃、窓から外をずっと眺めている子供だったらしい。
 喫茶店の窓から外には、間違っても飛び出せない。飛び出しちゃだめだよ、僕。大きなガラス窓は外を眺めるためのものでしかない。してみると、これは監獄の格子窓のようなものである。だから外を眺めたくなるのだ。そして監獄なら、それはそれで、過酷な現状も甘んじて受け入れようという気にもなるのだ。
 支離滅裂なことを疲弊した頭で考えていたら、カレーライスが来た。見るやいなや食欲を失ったが、私は大きなスプーンを武器のように手にとり、威勢よくライスに突き刺した。
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2月23日!

2009年02月24日 | 俳句
確定申告が間に合わない。焦ると何も手に付かなくなる性分なので、仕方なしに帳簿をさぼって俳句をひねる。


  手つかずの手には蜜柑の夜更けかな


駄作である。何もできない日はひねっても何もできないということである。
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2月22日!

2009年02月22日 | Weblog
 人類が目的を見失って久しい。地球という浸水しかけた小さな帆かけ船にぎゅうぎゅう詰めに乗り込んだ彼らは、何とか沈没を免れようと巨大な装置を船の中に作り上げた。結局その装置の重みで船は大海に没しようとしている。じゃあ何もするなと言うのか? われわれはただ大人しく船に揺られて行き先のない航行を続けろと言うのか? われわれはそもそも何のためにこの船に乗り込んだのか?
 人類はためらっている。船を降りるための岸辺は見当たらない。装置をすべて海に投げ捨てて元の帆かけ船に戻す勇気もない。彼らは少し憂鬱になり始めている。自分たちを元気づけてくれる次なる目的────進歩という大いなる目的に取って代わり、新たな航海の指針を与えてくれるはずの目的────も、いまだ見つけきれずにいる。 
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やれやれ。

2009年02月16日 | 俳句
休日なしの労働が続く。
この日曜日も仕事のあと、家族で鹿教湯温泉に行く。



湯けむりに あとをまかせる 吐息かな
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2月11日

2009年02月11日 | essay
 2月というのに一向に寒くならない。冬を早々箪笥に片付けてしまったかのような陽気である。過ごしやすいのは確かだが、地球温暖化とやらの影響かと思うと素直に喜べない。先日は夜中に窓を開けたら羽虫が飛び込んできた。今晩はしとしと落ちてくると思ったらみぞれである。
 ここは信州松本酷寒の地、数年前までは田んぼに水を撒いてスケートをしていたと聞く。それがきょうびは、夜が更けても雪にならない。事態は相当深刻である。
 深刻だが、こうぼんやりゆっくりと危機に迫られては重い腰を上げにくい。去年より確実に暖かくなっている気がするがなあ、と腕組みをして首をひねるばかりである。事態打開のためにいつ、何をすればいいのかはっきりしない。迷っているうちにどんどん地球は暖かくなる。ゆっくりとボイルされる蛙の気分である。現在、地球の温暖化は相当な速度で進んでいると聞くが、愚鈍な人間どもの目をあざむくには十分なほどの時間をかけているのであろう。
 本当の破滅とは、存外こんなものかも知れない。劇的、という表現からは程遠い、ずっとずっと、緩やかなもの。そう、気持ちの悪いほどに。
コメント (2)
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雑感

2009年02月08日 | Weblog
拡大はいつか必ず止む。

止むだけではない。

拡大それ自体を目的とする拡大は、そのとき崩壊する。

踏みとどまる術を知らないからである。

当り前のことであるが、

さて本当にわかっている拡大がどれだけあろうか?



──世の中はおしなべて不景気である。まさか責任の所在を「彼ら」に求めるわけにはいかない、とみな思っている。交通事故の責任を、そこに造った道路に押し付けるわけにいかないのと同じであるから。
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