少女の伸ばした手は届かなかった
道端に落ちたテディベアに
強烈な閃光が駆け抜け地面が吹き飛び
世界を揺さぶる音が幼い命を切り刻んだ。
少女はただ拾いたかっただけなのに
毎晩眠るときキスしていた大切な友だちを
今日もママとの買い物で握りしめていた大切な友だちを
大混乱の中
逃げ惑う人とぶつかり地面に落としてしまった大切な友だちを
ママの手を離してまで
ただ拾いたかっただけなのに
少女の伸ばした手は届かなかった
道端に落ちたテディベアに
強烈な閃光が駆け抜け地面が吹き飛び
世界を揺さぶる音が幼い命を切り刻んだ。
少女はただ拾いたかっただけなのに
毎晩眠るときキスしていた大切な友だちを
今日もママとの買い物で握りしめていた大切な友だちを
大混乱の中
逃げ惑う人とぶつかり地面に落としてしまった大切な友だちを
ママの手を離してまで
ただ拾いたかっただけなのに
人は誰しも
忘れ物をした地点がある
それは
夕日に染まる川原の無数のとんぼだったり
夏を過ごした奥座敷のにおいだったり
返さないままになったあの人の言葉だったり
誰しも
そこから歩んだ一本道を
もうさかのぼることさえ不可能な
そんな哀しい分岐点がある
だから人は
ときに不意に涙を流し
またときに
そのぬくもりに救われるのだ