た・たむ!

言の葉探しに野に出かけたら
         空のあお葉を牛が食む食む

トマト賛歌

2024年07月04日 | うた

暑い。孤独だ。

五十になって、自分で選んだ自営業の道に孤独を感じるとは、今日が暑過ぎるせいだろう。

もっと同僚とふざけ合いたかった。

上司に叱られたり褒められたかった。

部下に恰好つけたかった。

いろいろな煩わしさを振り払ったがため、

発泡スチロールのようにすかすかな日々になってしまった。

やむを得ない。これも自分で選んだ道だ。

孤独と暑さのあまり事務所を飛び出し、近くの商店に飛び込む。

店という店が軒並みコンビニとモールに食いつぶされた中で、

辛うじて昔ながらの個人商店として続けている稀有な店だ。

百円のトマトをひっつかみ、金を払い、

事務所に帰ってかぶりつく。

ジュースのように分かり易い甘味はないが、旨い。かすかに大地の香りがする。

百円のトマトが、自分にはお似合いだ。

窓から七月の青い空を睨み、

少しだけ闘争心を取り戻す。

 

 

 

 

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
«  | トップ | 因果 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

うた」カテゴリの最新記事