悪の華, ボードレール (訳)安藤元雄, 集英社文庫 ホ-2-1, 1991年
(LES FLEURS DU MAL Charles Baudelaire)
・『どんなにつまらなくとも最後まで読む』 本を読むうえで自分に課している決め事です。しかし、これまで挫折した本が何冊かあります。これはそんな中の一冊。いったい何を思って手に取ったのかは既に記憶がありませんが、10ページかそこらでギブアップしたのが、1999年のことでした。その後7年を経て気がついたのは、『いっぺんに読み通そうとするからダメなんだ』、『毎日少しずつ読めばいい』 3月の初めから、1日1~2編(4~5ページ)ずつコツコツ読み、読み終わるのに約3ヶ月かかりました。
・フランス詩集。ただ、とにかく、ひたすらに、なにが書いてあるのか意味がわからない。おそらくは、日本に関する知識が乏しく、日本に来たこともないフランス人が、芭蕉の句のフランス語訳を読んで、わけがわからないようなものなのでしょうね。。。
・カバー紹介文「1857年6月、発売と同時に検閲にあい、風俗壊乱の罪に問われた『悪の華』は、「きみは新しい戦慄を創造した」とのユゴーの絶賛をはじめ、フローベールなど多くの知友から賞賛された。第二帝政時代のブルジョア社会から忌避され危険視されたボードレールだが、彼の投じた「近代詩」への波紋はヴェルレーヌ、マラルメ、ランボーに、そしてロートレアモンへ拡がり、その後の世界の詩の流れを決定した。」
・『読者に』より
「百万匹の蛔虫さながら、ひしめき、うごめき、
われらの脳味噌の中では「悪霊」の群れが乱痴気さわぎ、
そこでわれらが息を吸うたび、肺の中へと流れこむのは
「死」だ、見えない河さ、かすかな歎きの声を立てて。」p.12
・『XVI 傲慢の罰』より
「あまりに高く登りすぎた男のように、ふとうろたえて、
叫んだそうな、悪魔的な思い上がりに我を忘れて。
《イエスよ、ちっぽけなイエスよ、わしのおかげで立派になったな!
だがもしも、わしがあんたの鎧のすきを突く気だったら
あんたの恥は、いまのあんたの栄光と等しいだろう、
そうなればあんたはもはや けちな胎児にすぎまいて!》」p.53
・『LXIII 幽霊』より
「ほかのやつらが愛情でするように、
おまえのいのちとおまえの若さを、
この私は、恐怖で支配したいのさ。」p.170
・『CVI 人殺しの酒』より
「本当の恋のどす黒い魔力、
その疑心暗鬼の地獄の行列、
その毒薬の壜、その涙、
その鎖と骨のぶつかる音!」p.285
・以下、訳者解説より「むしろ、詩というものについての根本的な見方、とらえ方に変更を迫ったのだ。あえて図式的に言えば、詩を書くという作業を水平にひろがることから垂直に探まることへと変えた。」p.385
・「だが、『悪の華』によってボードレールが示したものは、まさにそうしたあらゆる矛盾の総体であり、あらゆる書法のせめぎ合いだった。」p.387
・「『悪の華』Les Fleurs du Malとは、その題名の示すように、作品の一つ一つを一輪の「花」fleurとして、それらさまざまな花を咲かせた土壌の全体を読み取るべき書物なのだ。」p.396
~~~~~~~
?りゅうぜんこう【竜涎香】 香料の一つ。マッコウクジラの腸内からとれる蝋(ろう)状の物質。香料として用いられるが他の香料と併用して初めて芳香が得られる。りょうぜんこう。
?へきがん【壁龕】 西洋建築で、彫像などを置くため壁面につくられたくぼみ。ニッチ。
?しゅす【繻子・朱子】 絹織物の一種。織物の表面に縦糸だけか、横糸だけを浮かせたもので、表面はなめらかでつやがある。天正年間、京都の織工が中国の製法にならって初めて織り出した。多く帯地に用いる。
?ソネット(英sonnet)〈ソンネット〉ヨーロッパの抒情詩の一形式。二つずつの三行詩節と四行詩節からなる十四行詩。初めイタリアで起こり、ダンテやペトラルカなどによって完成された。短詩。
?るたく【流謫】 とがめられて流されること。官位をおとされて、遠方に流されること。遠流。りゅうたく。
?えびら【箙】 1 矢をさし入れて腰に背負う箱形の容納具。
(LES FLEURS DU MAL Charles Baudelaire)
・『どんなにつまらなくとも最後まで読む』 本を読むうえで自分に課している決め事です。しかし、これまで挫折した本が何冊かあります。これはそんな中の一冊。いったい何を思って手に取ったのかは既に記憶がありませんが、10ページかそこらでギブアップしたのが、1999年のことでした。その後7年を経て気がついたのは、『いっぺんに読み通そうとするからダメなんだ』、『毎日少しずつ読めばいい』 3月の初めから、1日1~2編(4~5ページ)ずつコツコツ読み、読み終わるのに約3ヶ月かかりました。
・フランス詩集。ただ、とにかく、ひたすらに、なにが書いてあるのか意味がわからない。おそらくは、日本に関する知識が乏しく、日本に来たこともないフランス人が、芭蕉の句のフランス語訳を読んで、わけがわからないようなものなのでしょうね。。。
・カバー紹介文「1857年6月、発売と同時に検閲にあい、風俗壊乱の罪に問われた『悪の華』は、「きみは新しい戦慄を創造した」とのユゴーの絶賛をはじめ、フローベールなど多くの知友から賞賛された。第二帝政時代のブルジョア社会から忌避され危険視されたボードレールだが、彼の投じた「近代詩」への波紋はヴェルレーヌ、マラルメ、ランボーに、そしてロートレアモンへ拡がり、その後の世界の詩の流れを決定した。」
・『読者に』より
「百万匹の蛔虫さながら、ひしめき、うごめき、
われらの脳味噌の中では「悪霊」の群れが乱痴気さわぎ、
そこでわれらが息を吸うたび、肺の中へと流れこむのは
「死」だ、見えない河さ、かすかな歎きの声を立てて。」p.12
・『XVI 傲慢の罰』より
「あまりに高く登りすぎた男のように、ふとうろたえて、
叫んだそうな、悪魔的な思い上がりに我を忘れて。
《イエスよ、ちっぽけなイエスよ、わしのおかげで立派になったな!
だがもしも、わしがあんたの鎧のすきを突く気だったら
あんたの恥は、いまのあんたの栄光と等しいだろう、
そうなればあんたはもはや けちな胎児にすぎまいて!》」p.53
・『LXIII 幽霊』より
「ほかのやつらが愛情でするように、
おまえのいのちとおまえの若さを、
この私は、恐怖で支配したいのさ。」p.170
・『CVI 人殺しの酒』より
「本当の恋のどす黒い魔力、
その疑心暗鬼の地獄の行列、
その毒薬の壜、その涙、
その鎖と骨のぶつかる音!」p.285
・以下、訳者解説より「むしろ、詩というものについての根本的な見方、とらえ方に変更を迫ったのだ。あえて図式的に言えば、詩を書くという作業を水平にひろがることから垂直に探まることへと変えた。」p.385
・「だが、『悪の華』によってボードレールが示したものは、まさにそうしたあらゆる矛盾の総体であり、あらゆる書法のせめぎ合いだった。」p.387
・「『悪の華』Les Fleurs du Malとは、その題名の示すように、作品の一つ一つを一輪の「花」fleurとして、それらさまざまな花を咲かせた土壌の全体を読み取るべき書物なのだ。」p.396
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?りゅうぜんこう【竜涎香】 香料の一つ。マッコウクジラの腸内からとれる蝋(ろう)状の物質。香料として用いられるが他の香料と併用して初めて芳香が得られる。りょうぜんこう。
?へきがん【壁龕】 西洋建築で、彫像などを置くため壁面につくられたくぼみ。ニッチ。
?しゅす【繻子・朱子】 絹織物の一種。織物の表面に縦糸だけか、横糸だけを浮かせたもので、表面はなめらかでつやがある。天正年間、京都の織工が中国の製法にならって初めて織り出した。多く帯地に用いる。
?ソネット(英sonnet)〈ソンネット〉ヨーロッパの抒情詩の一形式。二つずつの三行詩節と四行詩節からなる十四行詩。初めイタリアで起こり、ダンテやペトラルカなどによって完成された。短詩。
?るたく【流謫】 とがめられて流されること。官位をおとされて、遠方に流されること。遠流。りゅうたく。
?えびら【箙】 1 矢をさし入れて腰に背負う箱形の容納具。