ぴかりんの頭の中味

主に食べ歩きの記録。北海道室蘭市在住。

【本】ハツカネズミと人間

2007年07月26日 22時08分00秒 | 読書記録2007
ハツカネズミと人間, スタインベック (訳)大浦暁生, 新潮文庫 ス-4-8(5111), 1994年
(OF MICE AND MEN, John Steinbeck, 1937)

・舞台は1900年代初頭のカリフォルニア。農場を転々としながら金を稼ぐ二人組、ジョージとレニーの物語。
・同著者の著作は初見。アメリカの作家でノーベル賞を受け、同年代の人物であるという点で、フォークナーのことがすぐに頭に浮かびます。フォークナーに衝撃を受けたのと同様に、こちらも負けずに強烈な空気感を持っています。のどかでいて、どこか不気味さと緊張感が漂う。
・「先頭の男は小柄で機敏、顔が浅黒く、ぬけめのない目をして、目鼻だちも鋭くたくましい。からだのどの部分もきびきびしており、手は小さくて丈夫、腕はしなやか、鼻は細く骨ばっている。その後ろからついて来るのはこれと正反対の大男で、顔にしまりがなく、大きな薄青い目と幅広いなで肩をしている。重そうに足をいくらか引きずって歩く様子は、まるでクマが足を引きずっているようだ。腕は振らず、だらりとたれたままだ。」p.6
・「「かわいがってると、すぐにおらの指をかむんだ。それで、ちょっと首をひねると、もう死んじまう。とってもちっちぇえからなんだよ。……ねえ、ジョージ、おらあ、いますぐウサギがほしいなあ。ウサギならそんなにちっちゃかねえよ」」p.17
・「「なぜからかうのをやめたか、話そう。ある日、みんなでサクラメント川の川岸にたむろしていたのときのことだ。おれは自分がすごくかしこいような気がしてね。レニーに向かって<飛び込め>と言った。やつは飛びこむ。ところがまったくのカナヅチなんだ。やっと助け出したけど、もうすこしでおぼれるところだったよ。それなのに、助けてくれてありがとう、とおれに礼を言うんだ。おれが飛びこめと言ったことなんざ、すっかり忘れてるんだな。それで、おれはもうそんなことはやらねえようになった」」p.58
・以下、訳者あとがきより「フォークナーといえばミシシッピ州のオクスフォード周辺を思い出すように、スタインベックの世界はカリフォルニア、とりわけサリーナス近辺の自然や歴史と密接に結びついている。」p.149
・「原題の Of Mice and Men は、スコットランドの国民的詩人ロバート・バーンズ(1759-96)の詩「ハツカネズミに」の第七節――  ハツカネズミと人間の このうえもなき企ても  やがてのちには 狂いゆき  あとに残るはただ単に 悲しみそして苦しみで  約束のよろこび 消えはてぬ  からとったものだ。」p.156
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