アンサンブル・ド・ミューズ ニュースレター

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テラス席で…♪

2016-05-21 15:45:07 | Weblog
車寄せから玄関ホールに足を踏み入れると、その床はモザイク・タイル。
正面はラリックの手になるアール・デコ調のガラス壁、左手には今は使われることのない応接用の小部屋。
そこは旧朝香宮邸。
つまり東京都庭園美術館。
ここは建物自体が美術品ですわよね。
≪メディチ家の至宝展≫が開催中なので、午前中からメグちゃんと行って来ました。
展示室に進む度に、まず壁や天井、照明器具などを眺めるふたり。
その後で展示品。
メディチの手に渡ってから金の縁取りを施された古代ローマの工芸品などが多い。
この金の縁取りのおかげでそれらは今に至るまで形を保っているのかもしれない。
数多いカメオの彫りの精巧さ、美しさには驚かされる。
ゴンドラを模ったペンダントヘッドや龍のペンダントヘッド、セイレーンのペンダントヘッド、トンボのブローチやトカゲのブローチなど、時代が下るにつれてその細工の技術も精巧さを増してくる。
どの工芸家も存分にその腕を振るうことが出来たのでしょうね。
小さな真珠、丸くない真珠、小さなルビーに小さなエメラルド、金に七宝。
ダイヤモンドも使われているが、そう多くはない。
まして“ブリリアントカット”の技法が確立する以前の物だから輝きは乏しい。
それでも、全体がなんとも言えない美しさに満ちている。
アクセサリーというよりはまさしく工芸品。
ギラギラと光を誇示するような押しつけがましさのないところが好ましい。
燦然と輝いたメディチにもやがて黄昏の時は訪れ、日は沈む。
その時、ヨーロッパでは時代が変わっているわけだ。
なるほど…。
そのあとは新館のカフェでランチを頂きながらお喋り。
案内されたテラス席を吹き抜けていく風。
風にも香がある。
芝生や雑草や木々の、濃淡も明暗も様々な緑色。
ゆったりと、ただそこにいるだけの心地よさ。
“何もしない“ということをする豊かさ。
それは満ち足りた贅沢なひと時でした。
コメント
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