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レッスンの事、日々の出来事などいろいろと…。

原作…♪

2016-05-19 11:37:28 | Weblog
先週公開された映画『殿、利息でござる!』
羽生結弦クンが殿役で出演していることも話題になっていたね。
主演が阿部サダヲ氏ということもあって、コメディなのかなと思った。
利息でござる!とは、殿から金を借りてその利息を差し上げる、ということなのかな…?
殿さまが金貸しなぁ…、伊達家でしょ…実在の……、う~~ん…。
ふと、原作を読んでみようという気になった。
書店へ行って検索機でタイトルを入力。
お探しの本は見つかりませんでした
ナニ…っ
ん~、でもぉ…、以前にそのタイトルの文庫を見かけたような気がするんだけどなぁぁ…。
文庫本の棚を巡っていたら…。
お゛ぉぉ…っ、あった…っ
映画の出演者がずらりと居並んだカバーに≪映画化≫のスタンプ。
おぉぉ、これかぁぁ…。
では、早速…
ふぅ~~ん…、伊達家って、そうなんだ……。
主舞台は仙台藩の中にある吉岡宿。
今風にいえば重税に苦しみ、住人が減り寂びれつつある宿場町。
このままでは町がなくなってしまう、なんとかしなければと真剣に危惧した二人の男。
穀田屋十三郎菅原屋篤平治
この二人が心を合わせて宿場のために、その住人のためにと策をたて、慎重に慎重に事を進めていく。
ひとり、またひとりと同志が増えていく。
その家族も悲愴な決意とともに尽力を惜しまない。
どこまでも己を犠牲にしてひとのために尽くし続ける、この上なく清廉な人々が実在したことに驚かざるを得ない。
やがて八年をかけて事は成る。
それは江戸時代が明治に変わるまで、吉岡宿を潤すことになる偉業である。
それほどの偉業をなしながら、彼らの一人として、またその子子孫孫に至るまで手柄を誇ることなく、特別な栄誉を求めもせず。
そうして時の流れの中に消えていった家もあれば、平成の世まで存続した家もあり。
現存する資料に忠実に、淡々と、事実が語られていく。
江戸時代とはいかなる時代であったのか、民と公(おおやけ)とはどのように関わっていたのか。
為政者の考えとは、民の考えとは。
お役所仕事というものは。
歴史の教科書からは学び得ない過去の現実を窺うことも出来る。
まさに物語のような実話である。
『無私の日本人』所収 ≪穀田屋十三郎≫ 磯田道史著 文春文庫
コメント
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