債権危機で混乱するヨーロッパですが、
Yotubeでヨーロッパの街並みや、
デモの一種「お祭り騒ぎ」を見ていると、
どうしてもこの作品を思い出してしまいます。
紹介しているのは第2作目で日本が舞台ですが、
1作目は、スペインのアンダルシアが舞台です。
石畳の街路を疾走する自転車に、
「ああ、カーボンバイクってこういう路面の為にあるものなんだ」と実感します。
日本の舗装道路を走っていて、
「カーボンはロードのショックが小さい」なんて、関係無いですもんね。
ちなみに、先日、久方ぶりにロードバイクを持ち出して仕事に出かけたら、
何と途中でパンク。
ヤフオクで間違って落札した古いLemondのカーボンバイクは、未だにチューブラタイヤ。
スペアータイヤを持っていたから助かったけど、
寒風の中、ガチガチに固着したタイヤをリムから剥がすのが一苦労。
何で舗装道路でパンクなんかするかね・・・・。
<再録シリーズ>「「茄子・スーツケースの渡り鳥」・・・昔のジブリはここにある」
2008.09.09 「人力でGO」より
日本では「自転車レース=競輪」ですが、
海外では圧倒的にロードレースが花形競技です。
有名選手はF1レーサ並みのスターです。
ロードレースは陸上で例えるならマラソンでしょうか?
基本的には筋肉マッチョの競輪選手と違い、
ロードの選手はスリムな体系をしています。
それでも、ゴール間際のスプリントは力勝負ですし、
上り坂、下り坂、走行距離によってもそれぞれ適正がありますから、
マラソンよりも、複雑で見ていて楽しいスポーツです。
さらに、時速40kmを越えれば、力の殆どは空気抵抗でロスしますから、
チームや集団で走行し、味方や敵チームを風避けに使いながら
最後にどれだけ「足を残している」かが、勝敗を分けます。
この駆け引きだけでも、ゾクゾクするものがあります。
自転車のロードレースを手っ取り速く知りたければ、
漫画「オーバードライブ」が分かり易いかと思います。
ストーリーテーリングは下手ですが、
自転車レースについての基本は良く分かります。
さらに、自転車レースの奥深さを堪能したい方にお勧めなのが、
黒田硫黄の短編集「茄子」を原作としたアニメ
「茄子・アンダルシアの夏」と、
その続編「茄子・スーツケースの渡り鳥」です。
本来は原作者の「黒田硫黄」で取り上げようかとも思っていましたが、
高橋希太郎のアニメ「茄子・スーツケースの渡り鳥」が
原作を越える、あまりにも良い出来なのでちょっと感想など。
ぺぺ・ベネンヘリはチーム・パオパオ・ビールに所属する
スペイン人のロードレーサーです。
パオパオは、2流チームで,なかなか勝ちにも恵まれていません。
1作目、「茄子・アンダルシアの夏」は、
ぺぺの地元、スペインのアンダルシアでのレースが舞台です。
レース当日は折りしも、ぺぺの兄の結婚式の日でもあります。
しかも、その相手はぺぺの元カノ・・・。
そんな、特別な日でも、ぺぺはチームのエースのギルモアを勝たせる為、
アタックを仕掛け、アンダルシアの強風の中、黙々とペダルを漕ぎ続けます。
ところが・・・何と、ギルモアが転倒してレースリタイア。
ぺぺは一人、ゴールを目指して戦う事となります。
そんな、彼の脳裏には、捨てたはずの郷里での思い出が去来します。
実は、鳴り物入で劇場公開された第一作は、失敗作です。
黒田硫黄の漫画があまりにも素晴らしく、
アニメが漫画に食われてしまっています。
ところが、DVDでしか発売されない2作目は「大傑作」でした。
ぺぺとチーム・パオパオはジャパンカップ出場の為に来日します。
かつてのチームのエース、ギルモアは敵のチームに移籍しています。
今のエースはぺぺでしょうか、あるいはキヨッチか?
来日直前に、キヨッチのかつてのチームメイトでスター選手の
マルコ・ロンダニーニが、睡眠薬自殺をしていて、
キヨッチはいろいろと進退に悩みながらもレースに臨みます。
ジャパンカップのコースは宇都宮森林公園。
起伏のある周回コースです。
レース当日は土砂降りの雨。コースは川の様な有様。
先頭集団に2人の選手が残るパオパオは有利にレースを進めますが、
そんな時、ぺぺにアクシデントが・・・。
そして、後続集団から、スーパースターのザンコーニが猛烈な追い上げを掛け・・・。
っと、今回の見所ははっきり言ってレースです。
原作は本当にちょっとした小品で、たいした事ないのですが、
それゆえに、アニメ化に際しての自由度が高かったのでしょう。
そして、高橋希太郎が吹っ切れたのか、
アニメらしい動きとキャラクターが、物語を引き立てます。
ぺぺはどう見てもルパンだし、チョッチ(キヨッチ)はジゲンです。
ジブリ作品的な美少女も加え、
マッドハウスの作品ながら、近作のジブリよりも余程ジブリらしい作品です。
そして、脚本が素晴らしい。
黒田硫黄の原作、プロットだけの作品ですが、
それを、よくも1時間の作品にしたなと感心します。
自然な話の流れに適当な陰影と、見せ場があり、
スムースに自転車レースの世界に入って行けます。
そして、しっかりと原作のツボは押さえている。
さらに、何よりも圧巻はレースシーン。
前作は起伏の少ない、アンダルシアの大地が舞台で、
さらに、単独行という事もあり、レース的な見せ場は少しでしたが、
今度の舞台は、ツールド・ジャパンの起伏の激しい周回コース。
原作にはない悪天候という要素も加わって、
各チームの駆け引きや、各選手のテクニックが緻密に描かれていきます。
あ、このチームはシマノだ、ぺぺはカンパだ・・・。
ウワー、この登りでザンコーニはアウターにチェンジしちゃったよ・・・・。
なんていう楽しみ、見所が満載。
とにかく、自転車好きも、ジブリ好きも、黒田硫黄ファンの
見ないと損する一作です。