2劇の新プロジェクトは『苦痛と快楽のシリーズ』。来年の3月まで4作品が連続上演される。今回はその第1弾。なんだかいつものことだが、次々と新機軸を開拓して楽しんでいるなぁ、と感心させられる。よくわからないけど、この集団のこのフットワークの軽さは驚きだ。
今回はひとり芝居の3本立。しかし、この3本、なぜか微妙にリンクしていく。それどころか3本が絡み合って1本の芝居の様相を呈してしまう。普通なら1 . . . 本文を読む
最初はなんだか面白かった。だが、だんだんこのくだらなさが鼻についてきた。森見氏は確信犯的にこんなバカをしているのだが、実は本当は、ただ書けなかっただけではないか、なんて思わせるくらいに見事にバカバカしい。
あまりにリアルなバカぶりで、この人は駄目になったのではないか、と心配させられる。連載を続けていくためだけに書いていると思わせるくらいにくだらない。ただ「竹が好き」、それだけ。そんな純粋な小 . . . 本文を読む
このドキュメンタリーのあまりの方向性の危うさに、ちょっと戸惑ってしまった。この映画が一体何をしたいのか、あやふやで、つまらない映画では断じてないのに駄目だった。今回のようにDVDで見た場合、どうしてもストーリーのない映画は集中力を欠くと、作者の意図すら伝わらず、それがきちんとこちらの胸の中に落ちてこないから、結果、散漫な映画という印象しか残さない。これは残念な見方をしてしまった。
『僕の好き . . . 本文を読む
忙しいのになぜかこんな映画を見てしまう。そんな自分に呆れるけど、まぁいろんな映画があるからおもしろい。あの頭の悪そうなブレンダン・フレイザー主演最新作である。ハムナプトラは流石に見なかったが、こういう3D映画にはそそられる。「映画館がテーマパークに変わる!」なんていうバカなコピーを平気でつけるセンスのなさもナイスだ。さぁ冒険の世界に旅立とう!眼鏡の上にもう一つ眼鏡を重ねて。
まぁ、冗談はその . . . 本文を読む
佐々部清監督がデビュー作である『チルソクの夏』以来初めて(というか、それって再び、ではないか?)高校生を主人公にした青春映画を撮った。こんなにも瑞々しい青春映画を見るのは久々だ。恋とか友情とか手垢の付いたような話はない。これは馬と少女の物語だ。でもよくあるような動物ものともまるで違う。へんな感動の押し付けのようなものもない。でも、こんなに熱く胸が一杯になる。
だいたいこんな世界がこの世の中に . . . 本文を読む
武田花を読んで、見て(彼女の本は写真集であり、エッセイ集でもある)していると、なんだかあてもなく散歩に行きたくなる。どこでもいいから知らない場所を歩きたくなる。もちろんそこは名所旧跡なんかではない。観光地ともいえないようなしょぼいところでいい。ただあてもなくフラフラ歩くのだ。それって面白い。
僕はいつもそんな風にして時間があればどこにでも歩いていく。地図も持たない。ぶらっと行く。もちろん、た . . . 本文を読む
正直言っちゃおう。これ、とても面白かった!はまってしまったのだ。このディズニー映画にいい年した大人である広瀬氏が、である。魔法の世界から現実のニューヨークに連れてこられたお姫さまの恋と冒険がディズニーテイスト満載の世界で自虐的ともいえるくらいになんでもありで描かれる。ここまでしていいのか、と驚く。でも、さすがディズニーだ。太っ腹。これだけやってもなんら動じない。
こういう単純な映画は気持ちが . . . 本文を読む
これはすごく面白い。栗田さんのいつもながらの世界だ。日常の中に出来た非日常な空間を、日常の中にきちんと埋もれさせて描いていく。(なんだかややこしい)
ここに出てくるホテル(オテル)は地下に向かって建つ。本来ならありえないものとしてもっと特別視した描き方がなされるはずだ。でも、栗田さんはこの不思議をあたりまえのこととして描く。SF的な設定のはずがそうはならない。しかも、そこを基点にしたドラマな . . . 本文を読む
予想通りつまらなかった。それにしても、これだけ期待を抱かせる組み合わせは、めったにあるものではない。しかし、こういう夢の企画は時として、というかなぜかいつも、失敗する。それは期待の大きさゆえの失望という単純なものではない。
オムニバスである。ミッシェル・ゴンドリーとレオス・カラックス、ポン・ジュノという魅力的な組み合わせ。だが、題材との距離の取り方が3者3様となり、1本の映画としての一体感は . . . 本文を読む
吉祥寺という街が生き生きと描かれてある。まずそこが気にいった。なんだか幸せそうなのだ、この街は。なんでもない街なのに。そこがいい。
主人公は40代の女性漫画家(小泉今日子)。映画は彼女の日常のスケッチなのだが、それがとてもリアルに描かれている。でも、それはまるで魔法の世界のようなすがすがしさ。絵空事というのとはちょっと違う。なによりまず彼女たちはなんだか楽しそうだ。
もちろんノーテンキで . . . 本文を読む
この北野武の新作を見ていると、ビートたけしの持っている暴力的な衝動は1歩間違えれば喜劇になるという当たり前に事実に改めて気付かされる。
初期の作品の抑えたタッチは彼の本来の資質を抑え込むことで生まれた異形の世界だった。最近の過剰な作品こそが彼の本来の資質なのかもしれない。今回だって必ずしもシリアスな作品とは言えまい。おふざけが過剰であり、全体のバランスを崩しかねない状態だ。しかし、それこそが . . . 本文を読む
今回はとても軽めの芝居になっている。探偵もので、もちろんミステリー仕立て。(はせさんがいかにも好きそうな設定だ)ただ、この主人公、あと半年の命で、しかも、今少しずつ記憶を失っていっている。このまま自分が誰なのかすらわからなくなるのか。そんな設定の下、お話は展開する。
死をテーマにしているのに軽いタッチの作品になっていて、ラストも含めてとても爽やかなのもいい。久々に栗木己義さんが主演。彼がけっ . . . 本文を読む
いつもほんとに変な芝居を見せてくれる(これは褒め言葉)劇作家集団ヨヴメガネの新作は2話からなる連作。本当なら栗田俊之さんの新作と松永恭昭さんの2本立のはずが、諸般の事情で松永作品の2本上演となった。
彼の台本はいつも話の輪郭がはっきりしない。それが魅力でもあるが、連続でやられるとすこしへこたれる。1本目の『へ~たんな路』はゲームをする男女と、小説を書いている女とそれを見ている男、この2組の話 . . . 本文を読む