これは心からバカだ。そんなこと最初からわかって見ているのだが、それでも、ここまでバカとは思わなかった。純度100%バカ。バカ祭り。監督がスタローンから『コン・エアー』のサイモン・ウエストにチェンジしたし、もしかしたら、少しは考えて作るのか、なんて一瞬でも考えた僕をあざ笑うがごとき、バカ。バカ映画なのだから、みんなでバカを楽しみましょう、という感じ。潔い。
ストーリーは前作と同じ。最初に一発ド . . . 本文を読む
何がダメなのか、と考えながら、最初はこれがあまりに懐古趣味で感傷的であるとか、話が暗いとか、いろんな言い訳を考えたけど、要するに僕は「中学生もの」が嫌いなのだ、というあまりに当たり前のことに気づく。というか、中学生が嫌いなのである。
中学という時間は、あまり思い出したくはない。理不尽なことばかりが横行した。そんな時代をこの小説は取り上げている。しかも、とてもリアルに。これはその鬱屈した中学の . . . 本文を読む
岩井俊二プロデュース、北川悦吏子監督、脚本による作品。と、まずそこが売りになるって凄い。中山美穂、向井理主演ということよりもそっちが先、なのである。まぁそれはきっと一部のファンだけで、実際はそこがセールスポイントではないだろうけど。主役の2人の名前と同じくらいに岩井、北川の名前も露出している。もちろん、このコンビの作品というだけで、期待も高まる。
とてもおしゃれな映画だ。まるで、フランス映画 . . . 本文を読む
『サブウェイ』に続き、今回もまた、やってくれた! 絶好調の林慎一郎さんは、恐いものなしの快進撃を続ける。前作以上に過激な芝居にチャレンジして、成功を収めている。無意味と、意味深のはざまで、どちらとも取れる冗談のような芝居を展開していく。
これは簡単なことではない。かなり微妙な問題なので、そのどちらかにバランスが傾くと、つまらないものになる。あるいは、ただのバカバカしいものに堕す。原和代さんが . . . 本文を読む
「トリプル3演劇ワリカンネットワーク」もこれで3年目。最後となった今年、ジャブジャブサーキットが大阪で公演する。とても素敵な試みだとは思うけど、この企画自身には僕は別に興味はない。はせさんの芝居をただ見たいだけ。
オーディションで選ばれたキャストがジャブジャブの世界の中にちゃんと嵌っているのがすごい。まるで違和感なく芝居が見れる。みんな上手いから芝居のアンサンブルがちゃんと取れているのは驚き . . . 本文を読む
最近読んだ本はいずれもなんだか中途半端で、おもしろいはずなのに、乗り切れないで、もどかしい。今読んでいるはらだみずき『帰宅部ボーイズ』という70年代の中学生を主人公にした小説も、つまらないわけではないし、世代的にも近いから作者の気持ちはよくわかるのだが、これにも、なんだかあまり乗り切れない。今、半分ほど読んだし、今日できっと読み終わるけど期待できない。作者が感傷におぼれ過ぎているのではないか、と . . . 本文を読む
2つの集団によるコラボレーション第2弾。前回以上にパワーアップした傑作。スアシ倶楽部もニュートラルもこういう繊細な作品をとてもうまく見せる。今回の空間(Cafe Slow Osaka )は前回以上に劇場仕様で、カフェ公演というよりも普通の小劇場公演に近い。
でも、そんなことは、別にどうでもよい。どこでも、いつでも、完璧なものを作るのが、三好さんと大沢さんである。そんな彼らの仕事は信用できる。 . . . 本文を読む
とてもシンプルな構造のドラマだ。岩橋さんらしくない。でも、それは確実に彼の進化であったことに気付く。この作品に挑む姿勢は今までとは一味違う。その反面、遊びの部分が弱くなったのは残念だが、ひとつのテーマで一気に押していく。そんな力技に挑んだ。チラシにもあるがテーマは「ロボットには、できるの?」である。
ロボットと人間の境目が見えない。というか、人間以上に優秀で人間らしいロボットと、まるでポンコ . . . 本文を読む
ホン・サンスの新作が知らない間にリリースされているよ、と思い、レンタルしてきたのだが、これは新作ではなく、98年の彼の第2作。しかも、昔、『江原道の力』というタイトルで公開された作品で、確かNEO韓国映画祭とかいう特集上映で、公開された時に見ている。そこでは、それまでの韓国映画とはまるで違うニューウェーブとでもいうべき作品群が紹介された。それはとてつもない驚きだった。そして、その中でも白眉の作品 . . . 本文を読む
船場サザンシアター1周年記念公演だ。でも、特別なことはしない。というよりも、これはいつも通りだ。今回も2人芝居で、別役実の小さな劇を当麻英始さんが丁寧に見せる。主役を演じる男女の組み合わせは毎回変わる。そのキャスティングもいつも楽しみだ。今回は2VS2の長橋秀仁さんと、もりのくるみさんというカップリング。とても意外で、新鮮な組み合わせだ。彼らが難解な別役世界にどう挑むのか、興味津々で、劇場に。
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この『バトルロワイアル』の「パチもの」映画を見ながら、ここまで猿真似をしていいのか、と誰もがあきれたはずだ。でも、誰も表立っては言わない。アメリカで大ヒットしたこの大作映画はなんと3部作構成で、すぐに、続編が作られるらしい。『バトルロワイアル』と比較すれば、これはたいしたバイオレンスではない。映画を見ながら、これはそのストーリーほどには、『バトルロワイアル』と似ていないということにも、驚く。
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これで2度目となる。この集団の描く、とてもゆるい芝居は、毒にも薬にもならないけど、なんだか見ていて心地がよい。それだけでいいじゃないか、と思う。岡部尚子さんの主催する空晴にテイストが近い。エチュードで作られたせりふのひとつひとつは、なんだかぎこちないけど、でも、確かな言葉として胸に届く。なんとなくしゃべったような一言までもが、大切な心の声に思えてくる。そのくせ、それって、ほんとうにたいしたこ . . . 本文を読む
予想通りの展開だった。後半は一気に読めたけど、それに読んでいるときは楽しかったけど、新しい発見はない。あまりにパターン過ぎて、少し退屈したのも事実だ。上巻の時にも書いたようにこの下巻は、読まなくてもよかった。でも、話の途中で止めるなんてできない。
しかもそれがおもしろい小説なのだからなおさらだ。後半は前半よりも分量は長いのだが、内容は薄い。これも定番だろう。川上弘美であっても、こうなるのか、 . . . 本文を読む
このいじけた主人公は何? 新人映画監督が始めての現場で右往左往する姿を描くバックステージもの、かと思った。だが、そんなパッケージングから連想できるような映画ではない。まるで、成長しない青年監督を小栗旬が演じる。前半はほとんど、せりふもない。ただひたすら下を向いていじけている。この現場から脱走したい。自主映画の監督からメジャーデビューするはずなのだが、周囲のスタッフに指示も出せず、自信をなくしてい . . . 本文を読む