鹿児島にゆかりのあるお医者さんが、バイクで分割世界一周中です。
カナダ横断3日目、通山先生、頑張れ。
昨年はフロリダまでの移動で、いったん帰国、今年はフロリダから出発してニューヨークからカナダに入国、アラスカを目指して走っている途中ですね。
幻冬舎文庫の【行かずに死ねるか!】・・・サブタイトルは【世界9万500km自転車ひとり旅】の中に、モニュメントバレーについて記述された部分がある。
神様のモニュメントバレー 1年目・1月
その展望台に着くころには、すでに気持ちが萎えきっていた。
長い上り坂と、強い向かい風にさんざん苦しめられ、疲労困憊していたのだ。
「まったく、こんな思いまでして来るところかよ」
景色を一目見て、写真を撮ったらさっさと町に行って休もう。 そう思いながら、駐車場に自転車を置き、手すりのある展望台にほうに歩いていった、
突然、視界が開けた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
頭が真っ白になったあと、怒濤のように興奮が押し寄せてきた。 ぼくは手すりにつかまり、眼下に広がった景色を食い入るように見つめた。
大海原のような赤茶けた大地から、分銅のような形をした巨大な岩が三つ四つ、ボコボコと飛び出している。
ユタ州とアリゾナ州の境に位置する、先住民ナバホ族の聖地「モニュメントバレー」だ。
浸食によってできた独特の地形で、岩はビュートと呼ばれている。
(※ テーブル上場の台地になっているものがメサ、さらに浸食が進んだ岩山がビュートと呼ばれる)
西部劇でおなじみの風景だが、実際にこの目で見ると印象がまったく違う。ビュートは小山のように巨大で、艶のある色をしていて、獣が静かな寝息をたてながら眠っているようだった。
ナバホ族たちはここに神がいると信じているそうだが、この景観を目の当たりにすれば、誰だってそう思うんじゃないだろうか。
最高の眺望に浸ろうと、高台のへりにテントを張った。 そこはキャンプ場だったが、日が沈むとすぐに氷点下になるようなこの時期、キャンプをしている者は誰もいなかった。
ぼくは料理を作っているあいだも、それを食べているときも、目の前の景観にひとり静かに酔いしれていた。
翌朝、目が覚めると、テントの外はすでに明るくなっていた。
「よっしゃ、行くか」
寝袋から這い出し、テントのジッパーを開ける。 と、その瞬間、白い光が無数の矢のようになって、顔に降り注いできた。
細めた目から、巨大な三つの岩が、光の洪水のなかでシルエットになって浮かんでいるのが見える。
岩の輪郭が金色ににじみ、まるで後光が差しているようだ。
「「・・・・あ、あかん、もう一泊や 」
ぼくはもう一度寝袋にもぐり、テントに横になったまま岩たちを眺めた。
中略
こうしてぼくはここに四日間留まり、のべつ岩たちと向き合っていたのである。
後略
私たちのツーリングでは、朝、【メキシカンハット】を出発して、【モニュメントバレー】を見たあと、【グランドキャニオン】近くの【ページ】の街で昼食という、とにかく走りメインのツーリングだったのですけど。
テントの中から、ながめるモニュメントバレーの大地、入り口にはコッフェルと燃料のボトルかな?
同じ景色が見えているので、駐車場の近くにキャンプエリアがあったのでしょうね。
こんな、ゆっくりした旅っていうのが良いなぁ。
まだ、アラスカから北米、中米までしか読み進んでいないのだけど、ひさしぶりに出会った楽しめるツーリング記です。
気になる人は、書店で買って読んでみてください。 本体600円+税