『お尋ね者・賞金2・000ドル』
WANTED、レディメイドのポスターに写真コラージュ。ローズセラヴィの名前を加えている。
非常に不思議な感覚である、自分を捕縛した時の賞金が2・000ドルであるという妙に居心地の悪い金額。
そして、お尋ね者であるという立場。
「わたしを捕まえて!」と、公衆の前に公布する。つまり、わたしは公衆の前に不在である。
わたくし(デュシャン)は、隠遁し、世間に潜伏しているが、「わたしを探し出せるものがいるなら、逮捕してごらん」という挑戦状にも見える。
みんな知っているかもしれないデュシャン、否、デュシャンではなく通称『ローズセラヴィ』を知っているだろうか。(身長は5フィート9インチ、体重は180ポンドらしい、写真の顔と併せて内実の複合、合成である)
この架空の人物を誰が逮捕できるだろうか。写真の顔はデュシャンそのものだけれど、どうやらデュシャンその人ではないローズセラヴィの名で知られたその人をWANTEDするという劇中劇のような洒落たポスターである。
居るかもしれないが居ない人を捜し出してほしい、という。捕らえようとしても《無》であるが、《有》の片鱗も実在する架空を捕らえよと告知している。デュシャンのジョークは本質を衝いている。
(写真は『DUCHAMP』ジャニス・ミンク/TASCHENより)
胸は何だかをかしく熱り頬にはつめたい涙がながれてゐました。
☆教(神仏のおしえ)を化(教え導くこと)に熱(夢中になる)。
教(神仏のおしえ)は塁(次々に重なっている)。
その気になれば、この一件で団長をほんとうに困らせてやる手が一つだけあったのです。つまり、お父さんが団長にふた言めを言わせないで、いきなり辞令を足もとに投げつけてやりさえすればよかったのです。
☆証明書は、それに基づき失脚させる第二の言葉なのです。