続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

『やまなし』⑳

2018-11-13 07:14:47 | 宮沢賢治

と思ふうつに、魚の白い腹がぎらつと光つて一ぺんひるがへり、上の方へのぼつたやうでしたが、それつきりもう青いものも魚のかたちも見えず光の黄金の網はゆらゆらゆれ、泡はつぶつぶ流れました。


☆視(気を付けて見て)語(言葉)を吐く。
 複(二つ)の講(話)が逸(隠れている)。
 照(あまねく光が当たる=平等)の法(神仏の教え)の章である。
 語(言葉)に兼ねた講(話)は、往(人の死)の魂が望む法(神仏の教え)を流(広める)。


🈞マグリット『炎の帰還』『禁じられた世界』②

2018-11-13 06:42:46 | 美術ノート

  

  

 この二枚の作品は対になっている。
『禁じられた世界』女性は海の底に沈み深い眠りについている、すでにもう決して現世の自由に戻れることの出来ない永久に眠りである。
『炎の帰還』の紳士は地上を俯瞰している、(世界の中心で愛を叫ぶ)という世界で一番の愛に気づかされたのではないか。

 水(冷)と炎(熱)の対比。ここに融和(融解)はない。
 男は地上の空気を呼吸し、女は水底で生気の通気を塞がれている。この悲恋・・・。
 二人がそれぞれ持つ《バラ》は愛情を、それぞれの頬杖は《深い想い》だと思う。  
水は下方に留まるが、炎は上昇する。永久の決別に戻る時間は許可されない。

 憶測に過ぎないが、マグリットは父母への想いをこういう形で完結させたのではないか。美しい物語として昇華させたのだと思う。語ることなく秘密裏に二枚の作品に描き分けたのは、息子としての恥じらいだったかもしれない。


(写真は国立新美術館『マグリット』展/図録より)


『耕耘部の時計』62

2018-11-13 06:37:48 | 宮沢賢治

「何だ、この時計、針のねぢが緩んでるんだ。」
 赤シャツの農夫は大声で叫んで立ちあがりました。みんなもも一度笑ひました。


☆化(教え導く)字は啓(人の目を開いて理解させる)。
 審(正しいかどうかを明らかにし)換(入れ替える)。
 釈(意味を明らかにし)納める。
 普く題(テーマ)は照(あまねく光が当たる=平等)を究めることに留まる。
 逸(隠れた)図りごとである。


『城』3068。

2018-11-13 06:26:07 | カフカ覚書

部屋のなかは、明るくて、あたたかそうだった。なおしばらくささやき声が聞こえていた。おそらくイェレミーアスをやさしく言いきかせて、ベッドに寝かしつけているのであろう。やがて、ドアがしまった。


☆幻影は明るく温かだった。わずかにささやく声が聞えた。多分、イェレミーアスを優しく説得し切願したならば、完結したドアになるだろう。