オツベルと象
……ある牛飼ひがものがたる
第一日曜
☆蔵(すべての物を包み込む)
悟(真理に目覚める)死。
代(入れ替え)逸(隠して)化(教え導く)要(重要なこと)がある。
『シェヘラザード』
シェヘラザードとは『千夜一夜物語』に登場する語り手の王妃の名である。(解説より)
カーテンで仕切られている、つまり人為的な世界である。
「シェヘラザードは語りき」見るための目と語るための口のみ、他は真珠で滑稽な人型を模している。真珠は高貴というより虚飾かもしれない。
床は石のようであり、左右にはそれぞれ水の入ったコップ(真実)と馬の鈴(口伝、口承、言葉、物語etc)が置かれている。
少し下がったところには、亀裂の入った空洞らしき塔があり無数の鳥が飛び立っている。緑多き山頂に位置しているが、廃墟である。
これらを被うカーテンから覗き見る景色は、雲の散在する青空と山稜であり、ありのままの自然の景である。
以上がこの作品の構図を成すものであるが、ここから何が見えるだろう。
中央に置かれたコップの中の水は水平であり、透明な真実の証としての役割を担っていると考えられる。
シェヘラザードの語り口には少しの噓(馬の鈴が純白ではない)があるが、少なからず真実をも表明してる。
下に見える廃墟の塔は中身のない(空洞)であり、過去に積み上げた徒労の跡ではないか。飛び立つ数多の鳥は呪縛から解かれた民衆かもしれない。
カーテンに隠された異世界の物語、秘話には歴史に埋もれた真実がある。
(写真は国立新美術館『マグリット』展/図録より)
『こはいよ、お父さん。』弟の蟹も云ひあした。
光の網はゆらゆら、のびたりちゞんだり、花びらの影はしづかに砂をすべりました。
☆普く他意は解(わかる/悟るため)に、運(めぐらせている)。
交(入り組む)妄(嘘)は、化(教え導くこと)のために営(こしらえている)詐(作り事)である。
彼の考えでは、もしそうできたら、ずいぶんいろんな鬱憤を晴らせることにもなるのだった。ちゃんと眠り薬も用意してきていた。
☆彼の考えでは多くの償いをすることになるだろう。先祖のために奥の手(切り札)を打つ用意もある。