(学校で教えてくれない経済学)
「餌を捕ってくる猫であれば、白い猫でも黒い猫でも問わない」との小平の言葉が残っている。「ネズミが集まって猫に鈴を付けるべきだと議論した。鈴を付けに行くネズミはいなかった。」イソップ物語に出てくる子供でもよく知っている寓話である。
40年前、米ワシントンDCでの日米繊維交渉が行き詰った時、「戦争(War)と戦闘(Battle)は全く違う。戦争はなんとしてでも避けなければならない」と日本化学繊維協会の顧問弁護士の一人が繰り返し話していた。
「IMF、ストラウス・カーン専務理事、Currency Battle警告」の見出しをつけて、「通貨紛争は世界経済に危害をもたらす」と語ったと、7日付けのWSJ紙が紹介していた。カーン専務理事は、戦争と戦闘を言葉選びして、戦闘が戦争に発展すれば、1930年代に各国が争って自国通貨切り下げ競争に走り、大恐慌に陥った歴史の教訓から学ぼうとしているのかもしれない。
今週末、ワシントンDCで開かれたG7(先進7ケ国財務省・中央銀行総裁会議)では、人民元切り上げを互いに主張したが、猫(中国)に誰も鈴を付けることは出来なかったようだ。筆者がマンガ家なら、むしろ、痩せ細った猫(先進国)が集まって、最近急速に力を付けて丸々太ったネズミ(中国)に手を焼いている姿を描くかもしれない。
WSJ紙に“Dollar’s Fall(ドル安)”という言葉が出ない日はない。日本では円高だが、世界ではドル安と相場が決まっている。米国、欧州、日本がそろい踏みで、「量的緩和(Quantititve Easing)に踏み出したからだ。特に日銀が一歩踏み込んでリスクの高い債券も含めて買い上げを決めた影響は大きかったとWSJ紙は論評していた。
6日付けのWSJ紙に「金は野蛮な遺物かもしれないが、野蛮な金融時代には遺物が流行する」と経済学者のスティーブ・キ―ン氏がジョン・メイナ―ド・ケインズの有名な言葉をもじって語ったと紹介していた。金相場は今年だけで22%上昇している。
同記事によれば、日銀はETF(指数連動型投資信託)やREIT(不動産投資信託)などリスクの大きな資産を含めて買い取ると発表したことが、インフレを連想させ、金相場を一気に新高値へ押し上げたと書いていた。
米・欧・日はお札を刷り続ける。通貨安競争の埒外にいたブラジル政府が、海外からの投機的資金規制に乗り出した。ブラジルに限らず新興国の外貨準備高が急増している。通貨戦争(Currency War)に発展するまでに、米・欧・日の首脳の叡智が試されている。ゼロ金利政策の元祖、日本の首相よ、原稿を棒読みしていていいものか。猛省いただきたい。(了)
「餌を捕ってくる猫であれば、白い猫でも黒い猫でも問わない」との小平の言葉が残っている。「ネズミが集まって猫に鈴を付けるべきだと議論した。鈴を付けに行くネズミはいなかった。」イソップ物語に出てくる子供でもよく知っている寓話である。
40年前、米ワシントンDCでの日米繊維交渉が行き詰った時、「戦争(War)と戦闘(Battle)は全く違う。戦争はなんとしてでも避けなければならない」と日本化学繊維協会の顧問弁護士の一人が繰り返し話していた。
「IMF、ストラウス・カーン専務理事、Currency Battle警告」の見出しをつけて、「通貨紛争は世界経済に危害をもたらす」と語ったと、7日付けのWSJ紙が紹介していた。カーン専務理事は、戦争と戦闘を言葉選びして、戦闘が戦争に発展すれば、1930年代に各国が争って自国通貨切り下げ競争に走り、大恐慌に陥った歴史の教訓から学ぼうとしているのかもしれない。
今週末、ワシントンDCで開かれたG7(先進7ケ国財務省・中央銀行総裁会議)では、人民元切り上げを互いに主張したが、猫(中国)に誰も鈴を付けることは出来なかったようだ。筆者がマンガ家なら、むしろ、痩せ細った猫(先進国)が集まって、最近急速に力を付けて丸々太ったネズミ(中国)に手を焼いている姿を描くかもしれない。
WSJ紙に“Dollar’s Fall(ドル安)”という言葉が出ない日はない。日本では円高だが、世界ではドル安と相場が決まっている。米国、欧州、日本がそろい踏みで、「量的緩和(Quantititve Easing)に踏み出したからだ。特に日銀が一歩踏み込んでリスクの高い債券も含めて買い上げを決めた影響は大きかったとWSJ紙は論評していた。
6日付けのWSJ紙に「金は野蛮な遺物かもしれないが、野蛮な金融時代には遺物が流行する」と経済学者のスティーブ・キ―ン氏がジョン・メイナ―ド・ケインズの有名な言葉をもじって語ったと紹介していた。金相場は今年だけで22%上昇している。
同記事によれば、日銀はETF(指数連動型投資信託)やREIT(不動産投資信託)などリスクの大きな資産を含めて買い取ると発表したことが、インフレを連想させ、金相場を一気に新高値へ押し上げたと書いていた。
米・欧・日はお札を刷り続ける。通貨安競争の埒外にいたブラジル政府が、海外からの投機的資金規制に乗り出した。ブラジルに限らず新興国の外貨準備高が急増している。通貨戦争(Currency War)に発展するまでに、米・欧・日の首脳の叡智が試されている。ゼロ金利政策の元祖、日本の首相よ、原稿を棒読みしていていいものか。猛省いただきたい。(了)