(学校で教えてくれない経済学)
「量的緩和(QuantitativeEasing)」第2弾(QE2)は米経済を救えるか」のタイトルで、近着の二ュ-ズウイーク(NW)日本版最新号で、ア二―ラウリ―記者は、「多くのエコノミストは、その効果に懐疑的だ」と書いていた。QE2は日本でも関心が高い。
QE2の第一の期待は銀行融資の増加である。しかし、銀行から借りたい人や企業がいない。第二の期待は、FRBの買い取りで国債価格が上がる(利回りは低下)。しかし、余りに巨大な米国債市場に影響力を及ぼすには力不足だ。第三の期待は、国債が上がれば、株式などよりリスクの高い投資を促すが、FRBには実態経済を変える力はない。それでもQE2に期待するのは、米国経済を救うには、「それ以外に選択肢がないからだ」と書いていた。
次に、韓国・慶州で開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議にブラジルのマンチガ財務相が欠席したのはなぜか。最大の問題点は、新興国には実力に応じた発言権が与えられていないためだとNW記者の千葉佳代子氏が書いていた。
ユーログループのユンケル議長は、「理想は、G7プラス中国」と語った。中国以外の新興国はどうでもいい、と言いたいのだろうか」と書いていた。ロイタ―通信のアナリスト、クリシュナ・クルマは、「G20に残る資格のある先進国はアメリカぐらい」と書いていた。今回のG7でもG20でも肝心なことは何も決まらなかったわけが透けて見える。
NW日本版最新号は「世界に背を向けるアメリカの未来」と題して、クリストファ―・ディキ―氏が、「アメリカ人は、自国の外の世界のことを忘れてしまった。それは、11月の中間選挙を戦う候補者たちの言葉にもっともはっきり出ている」、「ナチスの台頭や残酷なジェノサイド、そして9.11-アメリカ人が世界に関心をなくすと深刻な事態が起きる」と警告していた。しかし、今のアメリカは、政治的にも経済的にもよその国をかまっておれない現実に置かれている。日本の政治家がそのあたりをどこまで丁寧に掴んでいるだろうか。
NW誌本号は、「中国指導部の世代交代で政治対立がはじまる」と題して、ダンカン・ヒュ―イット(上海)記者が、「習近平国家副主席を中央軍事委員会の副主席に決めた。これは毛沢東時代の党幹部の子弟からなる党有力派閥『太子党』の勝利といっていい。彼らは経済的には改革派だが、政治的には保守派だ。2年先に胡錦濤の後継者が決まるが、中国指導部の内部対立が懸念される」と書いていた。
尖閣問題では日本政府の不手際が取り沙汰された。漁船の船長が日本の警備艇に体当たりするようなことは本来やらない。逮捕を前提にした「やらせ」という見方もある。連日伝えられる反日デモも同様に「やらせ」という見方もある。米国が内向きになる。中国指導部の政治的対立が高まる気配にある。今正に日本の政治家の鼎の軽重が問われている。(了)
「量的緩和(QuantitativeEasing)」第2弾(QE2)は米経済を救えるか」のタイトルで、近着の二ュ-ズウイーク(NW)日本版最新号で、ア二―ラウリ―記者は、「多くのエコノミストは、その効果に懐疑的だ」と書いていた。QE2は日本でも関心が高い。
QE2の第一の期待は銀行融資の増加である。しかし、銀行から借りたい人や企業がいない。第二の期待は、FRBの買い取りで国債価格が上がる(利回りは低下)。しかし、余りに巨大な米国債市場に影響力を及ぼすには力不足だ。第三の期待は、国債が上がれば、株式などよりリスクの高い投資を促すが、FRBには実態経済を変える力はない。それでもQE2に期待するのは、米国経済を救うには、「それ以外に選択肢がないからだ」と書いていた。
次に、韓国・慶州で開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議にブラジルのマンチガ財務相が欠席したのはなぜか。最大の問題点は、新興国には実力に応じた発言権が与えられていないためだとNW記者の千葉佳代子氏が書いていた。
ユーログループのユンケル議長は、「理想は、G7プラス中国」と語った。中国以外の新興国はどうでもいい、と言いたいのだろうか」と書いていた。ロイタ―通信のアナリスト、クリシュナ・クルマは、「G20に残る資格のある先進国はアメリカぐらい」と書いていた。今回のG7でもG20でも肝心なことは何も決まらなかったわけが透けて見える。
NW日本版最新号は「世界に背を向けるアメリカの未来」と題して、クリストファ―・ディキ―氏が、「アメリカ人は、自国の外の世界のことを忘れてしまった。それは、11月の中間選挙を戦う候補者たちの言葉にもっともはっきり出ている」、「ナチスの台頭や残酷なジェノサイド、そして9.11-アメリカ人が世界に関心をなくすと深刻な事態が起きる」と警告していた。しかし、今のアメリカは、政治的にも経済的にもよその国をかまっておれない現実に置かれている。日本の政治家がそのあたりをどこまで丁寧に掴んでいるだろうか。
NW誌本号は、「中国指導部の世代交代で政治対立がはじまる」と題して、ダンカン・ヒュ―イット(上海)記者が、「習近平国家副主席を中央軍事委員会の副主席に決めた。これは毛沢東時代の党幹部の子弟からなる党有力派閥『太子党』の勝利といっていい。彼らは経済的には改革派だが、政治的には保守派だ。2年先に胡錦濤の後継者が決まるが、中国指導部の内部対立が懸念される」と書いていた。
尖閣問題では日本政府の不手際が取り沙汰された。漁船の船長が日本の警備艇に体当たりするようなことは本来やらない。逮捕を前提にした「やらせ」という見方もある。連日伝えられる反日デモも同様に「やらせ」という見方もある。米国が内向きになる。中国指導部の政治的対立が高まる気配にある。今正に日本の政治家の鼎の軽重が問われている。(了)