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欧州株カラ売り規制、米小売り0.5%増好感、NYダウ125ドル高(学校で教えてくれない経済学)

2011-08-13 09:30:07 | 経済学
米ブルームバーグをNHK/BS「ワールドWaveMorning」で見ていたら、「今週火曜水曜と48時間起きていた。もう、くたくただ、と言っているディラ―がいる」、と紹介していた。もちろんNYダウの上げたり・下げたりが、しかも2%、3%の幅で起こったことを指している。日本では株の話題は市民権を得ていない。むしろ株の話をすると、変な目で見られる。よって近くの喫茶店でも株の話題はタブーである。

老後の命綱の年金基金が株や債券で運用されていることを自分自身の問題として捉えない人が多い。株の時価総額が減ればその分確実に年金基金が目減りする。お上がうまくやってくれるだろうと高をくくっていると、実はとんでもないことで、運用の専門家が少なく、高額の契約金を払って名の通った金融機関から指導を受けながらなんとか資産管理しているにすぎない。

「名の通った」という言葉が曲者である。大手の銀行さんの話だから大丈夫なのか。新聞に出ていたから安心なのか。中国人に感心するのは政府を頭から信用していないことである。株の話でも庶民レベルで自分自身の問題として捉える習慣がしっかり根付いている。それは欧米でも同じである。そのため、政治家もこの一週間、休暇どころではなかった。フランスのサルコジ大統領も休暇を切り上げ、急きょ閣僚会議を招集した。株価暴落と暴動とが重なった英国のキャメロン首相は文字通り休暇どころでなかった。

フランス、イタリア、スペイン、ベルギー4ケ国が株式市場でのカラ売り規制を始めた。7月のアメリカの小売高が0.5%増加した。この二つの材料を好感して12日のNYダウは、前日比125ドル高、11,269ドルで取引を終了した。NHK/BSが朝の二ユースでアメリカ株が上げたことを珍しくトップで取り上げていた。米ブルームバーグに出演した投資運用会社の専門家は大胆にも「正常に戻った」と言い放った。「欧州株に落ち着きが出てきたことが大きい」と話していた。

ドイツZDFが先のカラ売り規制をトップで取り上げた。テレビ画面にカラ売りの仕組みをチャートに示し、例えば1000ユーロで借りた株を売り、500ユーロに値下がりしたあと買い戻して値上りすれば差額が儲けになると解説していた。カラ売りは150日間停止される。フランス最大の銀行、ソシエテ・ジェネラルの格下げのうわさが流れ、当社の株がカラ売りされ暴落した。それが欧州株暴落、NY株暴落に大きく影響した。一方、12日付けのWSJ紙にスイスフランのユーロ・ペッグの話が出ていた。香港ドルは米ドル・ペッグである。ペッグ(PEG)とは釘、釘で止めることを意味する。ユーロやドルと連動して動くシステムである。

WSJ紙はスイスフランのユーロ・ペッグに対してRidiculousIdea(くだらない考え)だ、とSLJMacroPartnersLLPのStephenJen氏は話したと紹介していた。それかあらぬかスイスフランは1ドル=0.77スイスフランまで急落した。スイス銀行はスイスフランが一時1ドル=0.7スイスフラン割れ寸前まで買われたことに警戒感を露わにしていた。ドル急落が対スイスフラン、対円に顕著に現れた一連の動きである。このところドルは対人民元でも値下がりしている。豪ドル、カナダドルに対してもドルは売られた。ドルが売られているのであり、円が買われているのではない。ところが日本では相変わらず円高呼ばわりして、円高を目の敵にしている。自国通貨が売りたたかれる悲哀とはどういう状態か、真面目に想像してほしい。

ドル全面安の矛先はNY金先物相場をトロイオンス1801ドルまで押し上げた。ところが米欧株の落ち着きで金相場は1745ドルまで売られた。逆に、プラチナは1,792ドルへ値上がりしたと13日朝の日経CNBCが流していた。金がプラチナの上に座るとお尻がむずむずするのだろう。相場全体がそれぞれ落ち着きどころを見つけようとして動き出したのであれば一概に悪い徴候でないかもしれない。(了)

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