(学校で教えてくれない経済学)
『新聞に書いていたから大丈夫』、『テレビに出ていたから買ってみた』、日本人の特徴を何か一つ、二つ挙げろといわれたらこう答えるようにしている。ただ、最近は新聞を読まなくなったという人やテレビも俗に言うゲラ番組は見なくなったというひとも増えているのでさすがの日本人にも変化の兆しは伺える。昔、大宅壮一さんがテレビ時代の幕開けで「一億総白痴化」という言葉を流行らせた。しかし、「それ何の事?」という若い人も増えているようだから一概に決めつけることも出来ないことは確かである。
円高を日本全土で困っているかというとそうではない。企業買収に熱をいれている人から見れば日本円が対ドルや対ユーロで値上がりすればその分お買い得だから笑いがとまらない。海外から物を輸入している人から見ればその分安く買えるから有難い。ところが、日本では、国全体が輸出業者しか存在しないかのような扱いになるケースが多い。円高を生かしてこそ日本経済も浮かばれると言い出しても「新聞に載っていない」「テレビで聞いたことがない」として、葬り去られる。日本という国は、実に面白い国である。
21日付けのWSJ紙電子版を読んでいたら、トルコ、韓国、最近はインドネシアもそうだが、トルコリラや韓国ウオンなど自国通貨が余りに安くなりすぎると外国の資本が逃げ出す怖れが出て来るとして、つい半年前まで進めていたリラ安、ウオン安政策の転換を始めたという記事が出ていた。同紙によれば、トルコ・リラは対ドルで年初から15%値下がりした。韓国ウオンは年初から見ればまだウオン高だが、8月だけで3%ウオン安になったため、韓国中央銀行はドルを売りウオンを買い始めたと書いていた。日本だけ見ていると錯覚するが、世の中には、自国通貨が値下がりすることを心配する国もあるということも抑えておきたい。
21日付けのWSJ紙日本版を読んでいたら、「円、スイスフラン以外に広がる資金の避難先」のタイトルで、NicholasHastings記者が「先週、英ポンドが上昇したことで、投資家が新たな資金の避難先として英ポンドに関心が高まっている」と書いていた。スイスフランや日本円だけが避難先ではない。英国は失業率が上昇している。小売販売高は鈍化している。インフレ率は上昇している。英経済見通しは改善するどころか悪化する可能性が高い。にもかかわらず英国の債券はAAAである。世界の外貨準備高で60%を占めるドルと比べて4%と低い。豪ドルやブラジルレアルより流動性が高い。特にこのところのユーロ圏の債務危機以降、ユーロ以外の通貨に分散させたい。英ポンドを検討する余地は十分あるからだと書いていた。
何が言いたいのか。昔、朝日新聞「天声人語」を書いておられた笠信太郎さんが「花見酒の経済学」の中で「コップの正面から見るのではなしにコップの裏から見れば全く別の世界が見えて来る。」と書いた。石を割るとき、時に場所を変えて叩くと簡単に割れることがよくある。一方方向から責めないで視点を変えて攻めていくことは兵法の基本である。世の中にはいろいろな見方がある。そのことを子供のころから実地に体験させておくことが、これからの時代には、益々大切な時代になるに違いない。
21日の日経朝刊に、金相場の世界で日本は「バーゲンハンター」と呼ばれ、金は下落局面でしか購入しない傾向が強いと出ていた。先日も貴金属店には手持ちのネックレスを売る行列が出来ているとテレビで紹介していた。今は売り時とみているのだろう。一方、日本銀行はこの40年間、金の購入実績がない。外貨準備に占める金の割合は3%、アメリカ70%、ドイツ、フランスはともに60%と比べて圧倒的に少ないと書いてあった。
日本人は一度こうと決めたら、金科玉条の如く守っている。幼稚園でも小学校でも人と違うことをするといじめに遭うケースが多い。まっすぐなキウリでないと売れない世の中こそがおかしいと是非新聞に書いて欲しい。(了)
『新聞に書いていたから大丈夫』、『テレビに出ていたから買ってみた』、日本人の特徴を何か一つ、二つ挙げろといわれたらこう答えるようにしている。ただ、最近は新聞を読まなくなったという人やテレビも俗に言うゲラ番組は見なくなったというひとも増えているのでさすがの日本人にも変化の兆しは伺える。昔、大宅壮一さんがテレビ時代の幕開けで「一億総白痴化」という言葉を流行らせた。しかし、「それ何の事?」という若い人も増えているようだから一概に決めつけることも出来ないことは確かである。
円高を日本全土で困っているかというとそうではない。企業買収に熱をいれている人から見れば日本円が対ドルや対ユーロで値上がりすればその分お買い得だから笑いがとまらない。海外から物を輸入している人から見ればその分安く買えるから有難い。ところが、日本では、国全体が輸出業者しか存在しないかのような扱いになるケースが多い。円高を生かしてこそ日本経済も浮かばれると言い出しても「新聞に載っていない」「テレビで聞いたことがない」として、葬り去られる。日本という国は、実に面白い国である。
21日付けのWSJ紙電子版を読んでいたら、トルコ、韓国、最近はインドネシアもそうだが、トルコリラや韓国ウオンなど自国通貨が余りに安くなりすぎると外国の資本が逃げ出す怖れが出て来るとして、つい半年前まで進めていたリラ安、ウオン安政策の転換を始めたという記事が出ていた。同紙によれば、トルコ・リラは対ドルで年初から15%値下がりした。韓国ウオンは年初から見ればまだウオン高だが、8月だけで3%ウオン安になったため、韓国中央銀行はドルを売りウオンを買い始めたと書いていた。日本だけ見ていると錯覚するが、世の中には、自国通貨が値下がりすることを心配する国もあるということも抑えておきたい。
21日付けのWSJ紙日本版を読んでいたら、「円、スイスフラン以外に広がる資金の避難先」のタイトルで、NicholasHastings記者が「先週、英ポンドが上昇したことで、投資家が新たな資金の避難先として英ポンドに関心が高まっている」と書いていた。スイスフランや日本円だけが避難先ではない。英国は失業率が上昇している。小売販売高は鈍化している。インフレ率は上昇している。英経済見通しは改善するどころか悪化する可能性が高い。にもかかわらず英国の債券はAAAである。世界の外貨準備高で60%を占めるドルと比べて4%と低い。豪ドルやブラジルレアルより流動性が高い。特にこのところのユーロ圏の債務危機以降、ユーロ以外の通貨に分散させたい。英ポンドを検討する余地は十分あるからだと書いていた。
何が言いたいのか。昔、朝日新聞「天声人語」を書いておられた笠信太郎さんが「花見酒の経済学」の中で「コップの正面から見るのではなしにコップの裏から見れば全く別の世界が見えて来る。」と書いた。石を割るとき、時に場所を変えて叩くと簡単に割れることがよくある。一方方向から責めないで視点を変えて攻めていくことは兵法の基本である。世の中にはいろいろな見方がある。そのことを子供のころから実地に体験させておくことが、これからの時代には、益々大切な時代になるに違いない。
21日の日経朝刊に、金相場の世界で日本は「バーゲンハンター」と呼ばれ、金は下落局面でしか購入しない傾向が強いと出ていた。先日も貴金属店には手持ちのネックレスを売る行列が出来ているとテレビで紹介していた。今は売り時とみているのだろう。一方、日本銀行はこの40年間、金の購入実績がない。外貨準備に占める金の割合は3%、アメリカ70%、ドイツ、フランスはともに60%と比べて圧倒的に少ないと書いてあった。
日本人は一度こうと決めたら、金科玉条の如く守っている。幼稚園でも小学校でも人と違うことをするといじめに遭うケースが多い。まっすぐなキウリでないと売れない世の中こそがおかしいと是非新聞に書いて欲しい。(了)