「消滅と再生、幻想の物語」
江嵜企画代表・Ken
山羽春季さんの個展「消滅と再生、幻想の物語」が、3月9日(金)まで京都精華大学ギャラリーフロールで開かれている。猪熊佳子日本画教室生徒有志と3月3日、楽しみにして出かけた。猪熊佳子先生と京都地下鉄「国際会館」駅改札で午前11時半待ち合わせ、駅そばから学校までスクールバスで所要約15分ほどで会場に着いた。バス停から真東に比叡山が山すそから頂上まで展望できた。
山羽春季さんは他でもなく猪熊佳子先生のお嬢様で今年精華大学卒業予定の画学生である。山羽春季さんの作品が猪熊佳子先生のスマホに紹介されたとき、こじんまりした会場を失礼ながら想定していた。予想は見事に裏切られた。才能溢れる23点の展示作品に正直圧倒された。
10年ほど前に、猪熊佳子日本画教室の課外学習が六甲森林公園で開かれた。そのとき山羽春季さんは母上の猪熊佳子先生に同行、スケッチを楽しんでおられた姿がつい昨日のことのように思い出される。小学校5年生だったそうだ。昨年、ドイツの大学に短期留学された。その時の体験を聞いたところ「いろいろなことを学ぶことができました。一人一人の学生が、プレゼンテーションを積極的にやる。いろいろの人種、いろいろな国からの学生と交流できました。」という言葉が特に印象に残った。
春季さんが用意された個展開催案内のはがきに「「オルフェオとエウリディケ」という神話を元に和紙や墨を使って描きました。亡くなった妻を黄泉の国まで迎えに行くオルフェオの物語です。死の楽園で踊る精霊たちやオルフェオの歌を想像しながら描きました。幻想の物語から純粋に愛や心の美しさを描けたらいいなと思います。」と記されていた。
絵は,和紙に墨、染料、水干絵具、岩絵の具で描かれていた。時に金箔が要所要所に効果的に使われていた。一枚一枚の絵が躍動感に溢れていた。特に、踊り子の群像が印象に残った。映画監督の絵コンテを見る思いがして、会場で山羽春季さんに、素人の印象ですがと前置きして「舞台衣装作家になられるような予感がします。将来が楽しみです。」と思わず口ばしってしまった。
作品は、1、「小暗い木立の中で」、2、「墓に花を」、3、「オルフェオの嘆き」と物語の展開に沿って進む。5、「天上の野原」、6、「西の果て」、7、「精霊の踊り」と続く。10,「ケルベロス」が登場。11、「約束」、12,「精霊と踊るエウリディケ」へ。原典のギリシャ神話によれば、最愛の妻,デウリデイケがオルフェウスとの結婚式の日に毒蛇にかまれて死ぬ。妻を取り戻すために黄泉の国へ行く物語である。
作品は、22、「永遠の安らぎ」、23、「幸福の精霊たち」で終わる。
帰路、会場最寄りのおしゃれなフランス料理店で会食した。貴重な時間をいただいた
猪熊佳子先生にひたすら感謝である。(了)
「消滅と再生、幻想の物語」