ご霊前に桔梗の原画
江嵜企画代表・Ken
愛読者のSさんから「額入りの桔梗の原画拝受しました。身に余る光栄を実感しています。家内の笑顔が浮かびます。まことにありがとうございます。早速、仏壇に設えました。仏間の写真を添えてご報告します。」ということばではじまる長文の7月4日付のお便りが7月6日夕方自宅に届いた。
同封写真2枚の内の1枚を僭越ながら添付させていただいた。ご仏壇御位牌奥にメールでお送りしたはがきサイズの桔梗のスケッチのコピーが見える。
ご仏壇向かって右にSさんの奥様が縫いぐるみを手にして微笑まれている遺影が見える。遺影のそばにご逝去を知ったあとその日の夕方に奥様のご霊前にとお送りした桔梗の絵の原画が写っている。
「桔梗は家内の最愛ともいうべき花です。しばしお待ち申し上げます。家内が元気なとき毎年京都の桔梗寺の写真を撮りに出かけました。催促していますよ!」と書かれたメールを今からほぼ1ケ月前にSさんからいただいていた。
過去催促されたことは記憶にないSさんからのメールである。桔梗の花を描いてお届けるするということは頭から離れたことはなった。例の更地で6月19日午後3時に桔梗が一挙に開花した日にめぐり合い、時は遅しと、一気にスケッチした。
月日は無慈悲に過ぎていった。彩色し7月1日の夜遅く仕上げ、絵を添付したメールがSさんの手元に届いたのは7月2日早朝になった。予想もしなかったことであるが、Sさんから「家内は6月18日未明、静かに、穏やかに、きれいな顔で逝きました」とのメールが届いた。
取るもの取りあえずA4サイズの桔梗の絵の原画を額に入れSさんのご自宅へお送りした。そしてこの度、冒頭で紹介したSさんからの書状が届いた。
Sさんの書状には「看取り経験の多い介護職の女性が、「こんなきれいで穏やかなお顔は見たことがない」と涙ぐんでいました。」という文が添えられていた。
なかでも「奥様の穏やかなお顔」ということばが強く印象に残った。お元気な間に原画が奥様のお手元に届けられなかったことには悔いが残るが、写真を拝見していると、桔梗の花の絵が「奥様の遺影と今、一緒にいるから、ドンマイ、ドンマイ」と唱和してくれているように見えると自画自賛している次第である。合掌。(了)