レインリリーの花
江嵜企画代表・Ken
2週間ほど前の梅雨の晴れ間にスケッチしていたレインリリーを
彩色した。花の名前はゼフィランセスと呼ぶ。ギリシャ語の
Zephyros(西風)とanthos(花)が語源だとヤフーのブログに出ていた。
一方、レインリリーの名でも広く知られている。白、ピンク、紅など
様々の色の花があるようだ。日本では白い花を「玉すだれ」と呼ぶそうだ。
日本に江戸初期に入った。細い葉茎の様子がすだれ、先についたつぼみの
様子を球に見立てたと言われている。
レインリリーと呼ばれるには訳がある。雨が降って球根が潤うと
花茎を延ばして開花するからだ。雨上りの日の翌朝はまるで申し
合わせたように開花する。開花してもせいぜい2日で花は枯れる。
しかし、梅雨のころは少なくとも4~5回は繰り返し咲いてくれる。
梅雨時でもというか、梅雨時だからこそなのだろうか、少し目を離して
いると雑草が生えてくる。努めて週1回は更地に出かけて草取りを
することが習いとなった。
草取りをしていると通り係の方が必ず一人か二人声をかけてくれる。
この日はレインリリーではなくグロリオサの花を指さして「これは何と
いう名の花ですか」と声がかかった。
ひとわたりグロリオサ談義に花が咲いた。「毎年金木犀を楽しみにしてます。
ありがとうございます」と話しを終えた。「お声をかけていただき、ありが
とうございます」といって、草取りを再び始めた。
作家の佐藤眞生さんは、必ずありがとうございますとメールに書かれると
伝えたら「ありがとう」という言葉の反対に「当たり前」ということばが
あると言われた。当たり前だと思って居ると「ありがとう」ということばが
出てこないというのである。
今、日本が殺伐としてきている。お互いが声を掛け合うことをしなくなった。
さらに言えば、「ありがとう」ということばが死語になりつつあることと
関連しているのかもしれない。誠に寂しい限りである。(了)