安全と品質問題が、二国間の貿易で、関税の代わりに輸入規制の方便として利用され、貿易の基本的ルールが乱用される怖れが出てきたと7月16日付けのWSJ紙が紹介している。
7月13日、中国政府は、米国からの一部肉加工製品の輸入を一時的に停止したと発表した。中国政府によれば、Tyson Foods,Sanderson Farms製の冷凍鶏肉にサルモネラ菌が、さらにCargill社製の冷凍豚肉に成長ホルモンが、それぞれ検出されたと説明している。
米国に輸入された中国産の食料や飼料に有害物質が発見されたことが、そもそものことの起こりで、米国の消費者の中国品に対する警戒感が強まった。中国政府は、過去3年間の国内製品の検査結果、中国製品の99%は、品質基準をクリア、安全だと反論していた。
中国政府は、先の米国産冷凍鶏肉・豚肉に加えて、フランス製のボトル入り飲料水、オーストラリア産シーフード、米国産ミックスドリンクについて、ここ数週間にわたり、輸入差し止め措置を実施していた。
安全基準問題は、過去においても、輸入規制の手段として利用されていたが、米中間での食品安全をめぐる問題か、双方の国の政治がからみ、新たな貿易戦争の火種になるかもしれないとWSJ紙は解説している。
中国製のペットフッドや玩具が問題にされて以降、米国の対中貿易赤字が巨大化していることも手伝い、米議会の苛立ちがエスカレートしている。人民元切り上げに留まらず中国品に対して報復関税をかけるべしとの声も米議会で強まってきているという。
米国の鶏肉の中国向けの輸出は、2007年、トップだったロシア向けを抜くと予測される。中国政府は米国政府に数年にわたり生の鶏肉の輸入承認を求めていたが実現しなかった。一方、中国は米デラウエア州での鶏インフルエンザ発症の際、2004年2月から12月期間、米国からの鶏肉の輸入を禁止した。その後、中国政府は、鶏の足首下を切り落とした爪つきの足の輸入に新たな輸入基準を設けている。
年初開かれたWTO総会では、安全基準を先進国が輸入規制の道具に使っていると開発途上国が非難していた。アルゼンチンは残留農薬問題で、先進国の基準が厳しすぎるとクレームした。一方、中国政府は、自国の輸出企業に新たな輸出基準順守を通達したようだ。
WTO事務局によれば、ここ10年でで、品質安全基準をめぐり、議題として取り上げられた案件は245件あった。このうち解決したケースは66件に過ぎないとWSJ紙は紹介している。安全問題に政治がからむと事柄の本質が消え、問題が一層、複雑化しそうだ。(了)
7月13日、中国政府は、米国からの一部肉加工製品の輸入を一時的に停止したと発表した。中国政府によれば、Tyson Foods,Sanderson Farms製の冷凍鶏肉にサルモネラ菌が、さらにCargill社製の冷凍豚肉に成長ホルモンが、それぞれ検出されたと説明している。
米国に輸入された中国産の食料や飼料に有害物質が発見されたことが、そもそものことの起こりで、米国の消費者の中国品に対する警戒感が強まった。中国政府は、過去3年間の国内製品の検査結果、中国製品の99%は、品質基準をクリア、安全だと反論していた。
中国政府は、先の米国産冷凍鶏肉・豚肉に加えて、フランス製のボトル入り飲料水、オーストラリア産シーフード、米国産ミックスドリンクについて、ここ数週間にわたり、輸入差し止め措置を実施していた。
安全基準問題は、過去においても、輸入規制の手段として利用されていたが、米中間での食品安全をめぐる問題か、双方の国の政治がからみ、新たな貿易戦争の火種になるかもしれないとWSJ紙は解説している。
中国製のペットフッドや玩具が問題にされて以降、米国の対中貿易赤字が巨大化していることも手伝い、米議会の苛立ちがエスカレートしている。人民元切り上げに留まらず中国品に対して報復関税をかけるべしとの声も米議会で強まってきているという。
米国の鶏肉の中国向けの輸出は、2007年、トップだったロシア向けを抜くと予測される。中国政府は米国政府に数年にわたり生の鶏肉の輸入承認を求めていたが実現しなかった。一方、中国は米デラウエア州での鶏インフルエンザ発症の際、2004年2月から12月期間、米国からの鶏肉の輸入を禁止した。その後、中国政府は、鶏の足首下を切り落とした爪つきの足の輸入に新たな輸入基準を設けている。
年初開かれたWTO総会では、安全基準を先進国が輸入規制の道具に使っていると開発途上国が非難していた。アルゼンチンは残留農薬問題で、先進国の基準が厳しすぎるとクレームした。一方、中国政府は、自国の輸出企業に新たな輸出基準順守を通達したようだ。
WTO事務局によれば、ここ10年でで、品質安全基準をめぐり、議題として取り上げられた案件は245件あった。このうち解決したケースは66件に過ぎないとWSJ紙は紹介している。安全問題に政治がからむと事柄の本質が消え、問題が一層、複雑化しそうだ。(了)