そこそこの視聴率だから見てる人も多いと思うが、フジテレビで火曜夜10時に『結婚できない男』というドラマをやっている。結婚したくてもできない人たちは、ひょっとしたら切実な思いで見ているかもしれない。
〈負け犬〉という、結婚できない女性はひところ話題になったが、男が主人公のやつは、ちょっと珍しい。ご時勢を反映してのことだろうと思う。
主人公・桑野信介(阿部寛)ようにカッコいい仕事しているわけでも凄いマンションに住んでいるわけでもないが、偏屈で頑固な面もあるから、自分だって「結婚できない男」になっていたかもしれない、などと思いながら見ている。
また僕のまわりにも、40過ぎで独身というのがぞろぞろいて、ひそかな優越感と「気楽でいいだろうな」という羨望感、そして「何とかしろよ/してやりたい」というのも混じりあった複雑な気持ちになる。
ところで阿部寛は、『トリック』とは違ったカッコ悪い男をうまく演じている。シャツもツンツルテンだし、髪型も情けないけど、回を追うごとに洗練されて行くのだろう。そして最後は、何だかんだ皮肉を言いながらも早坂先生(夏川結衣)と一緒になるのだと思うが、ドラマみたいに現実もうまく行くといい。
夏川結衣さんは、映画『花よりもなほ』ではハスッパな役だったが、今回は何だかイカした感じの女医さんを演じている。素敵だ。
うちのカミさんの話をすると、どちらかというと目立たない子だったのだが、今はいい女になっている(と僕だけ思っている)。カッコいい相手を探すのも一つの手だが、地味な原石を磨いて光らせる、というのもいいかも。長い人生、その方が楽しい、かな。
若い頃、いいなあと思っていたかわいい子がいるのだが、今じゃ何てことないオバさんになってしまった(ように見える)。第一、話が合わなくて。
全然関係ないけど、このドラマを見ていて、昔書いたショートショート『人生は皮肉』を思い出した。よかったらどうぞ。
それと、去年の今ごろ「選ばれない人」という一文も書いている。僕の勝手な思い込みなのだが、ついでにお勧めしておきます。