Eテレ「100分de名著」はいい番組で、欠かさず見ている。
今月のモンゴメリ『赤毛のアン』は女の子向けだと思ってあまり期待していなかったのだが、いやこれがなかなか面白くて、指南役の茂木健一郎氏がぞっこんなのもわかる気がする。
引き取られる家「グリン・ゲイブルズ」(緑の切妻屋根)までの道すがら、りんごの花咲く並木道を「歓喜の白路」と呼んだり、何てことない池に「輝く湖水」と名付けたり、主人公アン・シャーリーは実に想像力が豊か。文庫本を買ってきたが、村岡花子さんの訳が素晴らしいこともあって、すらすら読めてしまう。そしてアンの想像力豊かな言葉に、ハッとさせられている。
前後の文脈ないとわかりづらいとは思いつつ、新潮文庫より勝手ながら引用させて戴く。
p.30 これから発見することがたくさんあるって、すてきだと思わない? (中略)もし何もかも知っていることばかりだったら、半分もおもしろくないわ。
p.41 この世の中にこんなに好きなものがたくさんあるって、すてきじゃない?
p.59 朝があるってほんとにすばらしいことじゃない?
p.60 朝はどんな朝でもよかないこと? その日にどんなことが起こるかわからないんですものね。
p.97 何でも二度めに考えだしたときには、はじめほどよくないんですものね。
p.132 おわびをして許されるって、ほんとに気持のいいものね。(中略)家へ帰るってうれしいものね。
読み始めたばかりなので、まだまだ〈いい言葉〉が出てくるのだろう。楽しんで読み進めたいところ。
…しかし『赤毛のアン』に夢中になるなんて、僕の中にも女性的な部分(アニマ)が潜んでいるのかもしれない。
〔イラストは同番組のHPより〕