寝力なくなってきてはいるが、前の晩どんなに早く寝ても、平日(会社のある日)はギリギリまで布団の中にもぐっていたい。それが、早く次が読みたくて、目が覚めたらすぐに起きてしまう本に出会ってしまった。
佐藤愛子さんの『私の遺言』(新潮社)。別荘や自宅で体験したすさまじい心霊現象を克服した経緯、そしてそこから導き出した、今の世の中への警鐘の書である。筆力もさることながら、その内容が事実とは思えないほど凄いもので、ぐいぐいと引き込まれるのであった。
田辺聖子とか瀬戸内寂聴とかいるけれど、女流作家の中ではこの人が一番面白いと、ずっと思っていた。文章うまいし、何か深いものを持っているな、と感じていた。図書館で目に留まって借りる気になったのも、著者名と、そのただならぬタイトルに惹かれてのことである。
女性らしからぬサバサバした文体も、読みやすさの理由であるが、前世でアイヌの女酋長として戦った経緯があるというから、むべなるかな。
中学生の頃だったか、「恐怖新聞」や「おろち」といったオカルト漫画が流行っていて、非常に多感な時期、怖い思いをしたり妙な精神状態にもなったものだ。佐藤さんほどではないが、僕自身、うまく説明できないような不思議な経験を何度かしているし、見えない世界というのはやはりあるんじゃないかと思っている。
ただ現在は、真の暗闇もくみ取り式トイレも少なくなり、子供も昔ほど怖い思いをすることはなくなった。それは進歩でもあるのだが、何か大きなものを失ったような気もする。
とまあ、こんなに考えさせられた本も久しぶり。世の中たいがいのことは分かっているつもりであったが、アイヌの歴史含め、まだ知らないことがたくさんあるんだな、と思った次第。いい映画やドラマとは違った意味で、感動した。
「こりゃ最高だ」とも思うが、もっとスゴいことが、この世にはたくさんあるに違いない。そういうのを見聞きするためにも、まだまだ生きていかなくちゃならないのだろうと思っているところ。
全体通して読まないと真意は伝わらないものだが、気になったフレーズを勝手ながら引用しておく。
p.47 欲望に負けたりうち克ったり、考えたり迷ったりしつつ切磋琢磨して波動を高め、魂を浄化するのがこの世を生きることの意味目的であるという。
p.266 人間は苦しむことが必要なのだ。苦しむことで浄化への道を進むのだ。
怖いのキラいとか、スピリチュアルなこと信じないとか、こういうの合わない人いるだろうけど、そうじゃない人、一度読んでみて下さい(新潮文庫からも出ています)。ものの見方、変わるかもしれません。
出番少ないながら、おなじみ美輪明宏さんや江原啓之さんも登場しているし、ヘタなミステリーより面白いはずです。
…そんな関係で、ゆうべの『オーラの泉』を最終回にして初めて見てしまった。