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子供の方が気楽でいいと思うのが普通だし、僕もずっとそう思っていた。でも考えてみれば小さい頃は小さい頃で、親からの干渉やら受験の心配やら何やらで、そう面白おかしい毎日ばかりだったわけでもない。
人にもよるけど、特に思春期の心の不安定さというのは、もう二度と体験したくないと今でも思う。
大人になればタバコや酒が呑めるわけだが、そればかりではない。一人でどこへ旅しようがどこに泊まろうが、夜の繁華街をぶらぶらしようが、どういう映画/ビデオを見ようが、自由である。これが未成年だと、お巡りさん達に補導されてしまうことに。
もちろんそれだけ危ない目に遭うリスクもあるわけだが、そういうの含めて基本的に自由である。束縛されるのが大嫌いな僕としては、この自由さというのはとてもいい。子供の頃より今の方が、幸せなのかもしれない。
だから成人式を迎える20歳(ハタチ)の諸君、自己責任云々は耳にタコだろうけれど、子供の頃にはない自由というのが手に入るわけ。だから「おめでとう」と言いたい。
そう言や大人になると、子供の頃とは感覚も変わってくる。
紅白では加山雄三や桑田佳祐の歌の歌詞が心に沁みたり(子供の頃は気付きもしなかったろう)、『刑事コロンボ』ではコロンボや犯人の哀しさが感じられたり(昔はコロンボの滑稽さばかり見ていた)、と。
こういうのが分かるのと分からないのとでは、生きていく上での趣きがまったく違ってくる。まあ年とりゃ自然身につくんだけど。
最後に、夏目漱石『吾輩は猫である』より。
「呑気と見える人々も、心の底を叩いてみると、どこか悲しい音がする」という一節。これも味わい深い言葉。
〔写真は、初日の出前の東の空〕