思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

?『ミニ・インターナショナル』 ラトルとベルリンフィルの革命

2004-12-28 | 趣味
『MINI International』(BMWミニの車の定期PR誌・オリジナルCD付・A4版70ページ)の13号日本語版に、2001年からベルリンフィルの常任指揮者を務める英国人サイモン・ラトルの大胆な教育プロジェクトについてのページがあります。
以下に、要約してご紹介しましょう。

プロジェクトの名前は、 「未来―ベルリンフィル」
これは、「エリート文化」と「大衆文化」のカップリングの試みであり、人々が芸術の方に向かって来ないなら、芸術の方から人々に向かっていこうというものだ。音楽とは、人々をつなぎ、調和させる芸術であり、暇つぶしや贅沢などではない。人々の根源的なニーズであり、権利なのであるーというラトルの思想に基づいて進められている。ベルリン市内各地で、16ものプロジェクトが立ち上げられた。

 たとえばベルリンフィルのメンバーは、社会的に恵まれていない地域の小学校3ヶ所で現代作曲家―リゲティの作品を題材に、数週間にわたるワークショップを組織した。和声その他の楽理について学ぶという企画だ。
また、不良の少年少女たちを含む中等学校の生徒が、ラベルのバレエ作品「ダフニスとクロエ」をイギリスの振付師の新演出で五週間に渡って練習し、最後にラトル指揮のベルリンフィルと共に上演した。
 昨年は、バレエともクラシックとも無縁の250人の子どもたちがストラヴィンスキーの「春の祭典」を上演。公演には2000人以上が来場し、映画「リズム イズ イット」が創られた。
 今年はヘンデルのオラトリオ「ベルシャザールの饗宴」が主要なベルリン市内地区のプロジェクトになっている。すべての学校、市民グループや老人ホームなども参加し、大規模な公演を行う。

 このようにラトルとベルリンフィルは、市内にしっかりとしたネットワークを紡いできた。
 ラトルは語るー「人々が私たちのところにやってくることはありません。私たち自身が彼らのところにおもむき、私たちの夢を共有するように誘うのです。子どもたちのプロジェクトという種をまきました。今後それがどのように育っていくか分かりません。しかし、このプロジェクトが私たち皆の生き方を変えたということは、確信をもって言えます。」
 
うーん。なんと素晴らしいことか!「クラシックは、ハイカルチャーの世界に留まってはならない。学校へ、工場へと出向いていかなければいけない。」というビートルズと同郷のラトルの信念と行動には脱帽するしかない。感動!感激! 
2004.12.28(武田康弘)




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