ひとりひとりの人間の自己中心性を否定せず、そこに立脚して、そこから人権をルールとして考える思想は、現代民主制社会における普遍的な哲学だ、と私は確信しています。
押し付けや命令や要請ではなく、個々人の生活世界での実感に則って、互いの「欲望」を肯定し合うところから生み出される「ルールとしての人権」思想は、市民主権の民主制社会を支える屋台骨となる哲学のはずです。
この人権の哲学は、【公共哲学の原理】、単なる理論という次元を超えた【原理】になると私は考えていますが、ルールとしての人権思想をルソー出自のものと捉え、カントの理念型の人権思想との対比において分かりやすく説いた本がありますので、ご紹介します。
金泰明という人の書いた「共生社会のための二つの人権論」(2006年1月・トランスビュー刊・定価2520円)ですが、本書は、世界的に「公共性とは何か?」を改めて考える必要に迫られている今日、公共の原理論となる必読文献だと思います。
武田康弘
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